環境への配慮と美味しさの両立を実現する麹肉
株式会社麹ラボが2025年6月22日、東京都内の自然食レストラン「元氣亭」で初となる麹菌を使った代替肉「麹肉」の試食会を開きました。このイベントには、昨年実施したクラウドファンディングのサポーターが招待され、初めて一般の方々に麹肉を体験してもらいました。
日本の発酵食品の力を活かして
麹ラボは、畜肉の生産が地球環境に及ぼす影響を考慮し、持続可能な食品を作る必要性を感じていました。その中で、従来の大豆などの植物性代替肉に加え、麹菌を用いた新たな選択肢を提案しています。麹菌は増殖が速く、栄養価も高い食材として脚光を浴びており、麹肉の開発に向けた取り組みが進められているのです。
麹菌の菌体は、40-60%のタンパク質を含み、そのうま味成分は料理に深みを与えます。これにより、環境に優しいだけでなく、食の満足度も高い代替肉としての位置付けが期待されています。
試作開発の背景
麹ラボの代表、萩原氏が筑波大学で麹菌の代替肉研究を開始したのは2021年のこと。この研究では、酒粕や焼酎粕などの食品副産物を栄養源として利用して、循環型の菌体生産が可能となるよう取り組んできました。
2022年からは株式会社玄米酵素と手を組み、本格的な試作を行ってきました。彼らの自然食料理教室の専門家チームと協力し、麹菌の特性に最適な料理法を模索していったのです。これにより、麹肉の魅力を最大限に引き出すレシピが考案されてきました。
試食会の様子
今回の試食会は、クラウドファンディングのサポーターに素晴らしい料理体験を提供する貴重な機会となりました。参加者たちは、麹肉を使ったハンバーグや青椒肉絲、バーニャカウダー、シーチキン風大根サラダなど、全4品を試食しました。特にハンバーグは、肉の食感を活かすためにひき肉と混ぜて調理され、参加者からは「期待以上に美味しかった」という声が相次ぎました。
各料理については、青椒肉絲が高評価を得た他、ハンバーグの違いに気付く人も多く、自らの舌で麹肉の可能性を感じた様子でした。「今までの代替肉にある嫌なにおいがなく、自然な味わいが好印象」といったコメントもあり、参加者たちは新しい代替肉の魅力を実感し、さらなる開発に期待を寄せていました。
未来へ向けた挑戦
麹ラボは、単なる代替肉の開発にとどまらず、環境負荷を減らすための食品開発に積極的に取り組んでいます。これからも、発酵食品の力を最大限に利用し、持続可能で美味しい食品の選択肢を増やしていくことが目標です。魅力的な麹肉の開発が、未来の食文化にどのように寄与していくのか注目が集まります。
この試食会は、麹肉がより広く認知されるための第一歩であり、今後の展望が大いに楽しみです。環境にも優しく、美味しい生活を楽しむことができる麹肉が、私たちの食卓に来る日もそう遠くないでしょう。