伝統の味、春を告げる『5色のひし餅づくり』
岐阜県高山市一之宮町では、春の訪れを感じさせる『5色のひし餅づくり』が開催されています。この伝統的な餅づくりは、飛騨地域独特の風習に基づいており、ひな祭りを祝うために毎年行われています。特に、この地域では春の到来が遅れるため、ひな祭りも他の地域と比べて1ヶ月遅れで祝うという特徴があります。
地元住民の手による特産品
この『5色のひし餅』は約40年ほど前に考案されたもので、当初は地域の特産品として誕生しましたが、近年では女将の水野美代子さんが中心となり、その伝統を守り続けています。水野さんは一人で餅をつき、自然由来の原料で色づけをし、手作業でカットして真空パックにするまでの工程を全て行っています。彼女の手によって、季節の変化が美しく表現されたこの餅は、下から順に白、茶色、緑、ピンク、黄色の五色に彩られています。
- - 白餅:雪を表す
- - きび餅:雪解け後の土を象徴
- - よもぎ餅:若葉の芽吹きを表現
- - 紅(べに)餅:咲き誇る花を示す
- - カボチャ餅:実りを表す
その色合いは自然の素材から引き出され、見た目だけでなく香りでも楽しめるのが特徴です。
天候に左右される素材
昨年は天候が悪く、カブの出来に不安があったものの、無事に例年通りの色と味を出せたとのことです。このように自然の影響を受けながらも、持ち味と伝統を守ることが大切だと水野さんは語っています。餅を作る様子は、訪れる人々にとっても新しい体験となり、毎年の定番行事として親しまれています。
売られる場所とその魅力
今年は3月いっぱいまで作業が続く予定で、約200袋を作る計画です。『5色のひし餅』は農家民宿みづの荘のほか、4月3日には飛騨一宮水無神社で行われる「飛騨生きびな祭」でも購入可能です。また、高山の本町にあるアンテナショップ「まるっとプラザ」でも手に入れることができます。価格は1パック450円(税込)となっています。
水野さんは「子どもたちが来てくれると元気が出る」と語り、なかでも一番のおススメの食べ方はあぶらえとのこと。季節の移り変わりを感じながら、家族や友人とともに楽しんでみてはいかがでしょうか。これからの春の訪れを、五色の鮮やかさで感じておくことができます。
一之宮地域の魅力
一之宮地域は、高山市の南側、位山を中心に広がる田園風景が魅力のスポットです。自然豊かなこの地域には、飛騨一宮水無神社や飛騨生きびな祭、歴史的な巨木や巨樹も点在しており、訪れる人々を惹きつけます。春になれば、地域全体が花で彩られ、多くの観光客が訪れるでしょう。
この春、多彩な5色のひし餅をぜひ味わいに、高山へ足を運んでみてください。