新たな水質改善技術の導入
最近、富士山の麓で行われているニジマスの養殖が新しい時代を迎えています。富士養鱒漁業協同組合は、Far UVC(深紫外線)技術を導入し、養殖環境の安全性を高める取り組みを開始しました。この技術は、魚の病気リスクを低減し、高品質なニジマスを消費者に届けることを目的としています。
富士養鱒漁業協同組合の理念
静岡県富士宮市は、泰山の澄んだ湧水を利用したニジマス養殖で日本一の生産量を誇ります。この地域は「鮭鱒養殖を通じて地域や食文化に貢献する」という理念のもと運営され、地元のおいしい魚を世に広めるために努力しています。今回のFar UVC技術導入により、組合員の生産効率が向上し、さらなる収益拡大が期待されています。
Far UVC技術とは
Far UVC技術は、波長200~230nmの光を使用する新しい殺菌技術です。これは、微細な病原体を効果的に不活化できる一方で、人体には高い安全性を持っています。特に新型コロナウイルスの影響で、世界的に注目されるようになりました。この技術は、薬剤依存を減らし、環境への影響を最小限に抑えるため、持続可能な養殖業を支える重要な要素となります。
魚病感染症リスクの克服
富士養鱒漁業協同組合は、近年、さまざまな外部要因による魚病感染のリスクが懸念されていますが、Far UVC技術の導入により、病原体を効果的に死滅させ、自動化された養殖プロセスを実現することができます。これにより、養殖業者が抱える収益の安定化が期待されています。
実証結果と販売拡大
BEAM Technologiesは、タイのバナメイエビ養殖においてもFar UVC技術を用いて実証研究を行い、高い評価を得ています。これを受けて、日本と東南アジアでの製品販売を拡大する計画が進行中です。このように、Far UVC技術は、国際的にもその利用が広がりつつあります。
陸上養殖における社会的要請
現在、世界の人口は78億人に達し、2050年には100億人に達すると予測されています。これに伴い、動物性タンパク質の需要が急増する中で、陸上養殖が重要な解決策とされており、環境負荷の低い養殖方法が求められています。Far UVC技術は、こうした新しい水質改善技術として注目を集めており、薬品を使うことなく安全で持続可能な養殖を実現します。
所長の見解
富士養鱒漁業協同組合の平林馨代表理事は、Far UVC技術の導入がどれほど画期的であるかを語ります。「ニジマスや魚卵がいる水槽に直接殺菌できるとは想像以上でした。これにより、環境汚染リスクが減り、全体の生産性が向上することは、地球環境にとっても喜ばしいことです」と述べています。
未来への展望
今後、富士養鱒漁業協同組合は、BEAM Technologiesと連携し、Far UVC技術の普及を進めることで、「富士宮のニジマス」やプレミアムブランド「富士山の湧水が育てた大々鱒紅富士」の信頼性をさらに高めていきます。新しい技術の導入によって、消費者が安心して楽しむことができるニジマスを提供する未来が待ち遠しいですね。