希少魚の養殖技術開発で日本の水産業に新たな光をもたらす

株式会社さかなドリームが挑む新たな養殖技術

日本の水産業は、急速に増加する水産物の需要に対し、さまざまな課題に直面しています。特に、世界的な人口増加や健康志向の高まりによって、魚類の需給バランスが崩れ、天然魚の漁獲量は過去30年ほぼ横ばいとなり、日本国内での養殖魚生産量は1991年をピークに約80%減少しています。このような現状の中、株式会社さかなドリームが新たな希望の光を注ぐため、希少魚の養殖技術開発に取り組むことが決まりました。

JSTによる支援を受けた養殖技術の革新

科学技術振興機構（JST）の支援により、さかなドリームは希少魚の養殖技術確立に向けた具体的なプロジェクトを推進します。このプロジェクトでは、魚類の配偶子生産や種苗生産、さらには海面養殖の進展を図ることで、実社会において希少魚が安定的に供給される体制を目指します。

日本の養殖業が抱える課題

現在、日本における養殖魚の生産は、ブリやマダイ、カンパチ、ギンザケなど認知度の高い魚がそのほとんどを占めています。これにより新たな養殖魚の開発が求められている中、さかなドリームのプロジェクトが期待されています。環境変化に強い魚や食用として優れた形質を持つ新規片ち魚の開発を進め、養殖業の未来を切り拓く重要な役割を果たすことを目指しています。

代理親魚技法による新たなアプローチ

さかなドリームが採用する「代理親魚技法」は、東京海洋大学で開発された革新的な手法です。この技術は、ターゲットとなる魚種から生殖幹細胞を取り出し、近縁種の仔魚に移植することで、親魚の養殖コストと期間を大幅に削減することが可能です。この方法により、希少魚でも量産が可能になり、その生産が実現します。

開発の概要

具体的には、奈良之ぶが提唱した代理親魚技法で得られた生殖幹細胞を活用し、低コストでの養殖魚の供給が実現します。この手法により、今まで出会うことのなかった「世界一旨い魚を創り、届ける」という企業理念が実現に向けて大きく前進します。

さかなドリームの未来と展望

さかなドリームの取り組みは、日本の水産業に新たな風をもたらすものであり、消費者にも質の高い水産物を提供するという目的を持っています。この新しい養殖技術の実現により、国内外での水産物の安定供給が期待でき、持続可能な水産業の実現に寄与することでしょう。

企業の設立は2023年7月で、今後はさらなる技術革新とともに市場投入を目指していきます。さかなドリームが挑む新たな養殖技術は、未来の日本の水産業を支える重要な一歩となるでしょう。