AAA・與真司郎が明かすカミングアウトの背景と幼児期の苦悩
AAAのメンバーとして活躍してきた與真司郎(あたえしんじろう)さんが、2023年7月に自らの同性愛者であることを約2000人のファンの前で公表し、多くの注目を集めました。この勇気あるカミングアウトは、日本だけでなく、米紙「ニューヨーク・タイムズ」にも取り上げられるなど、影響力を持つ出来事となりました。そして、その後の彼の思いを赤裸々に綴ったノンフィクションエッセイ『人生そんなもん』が、2025年4月16日に発売されることが決定しています。
幼少期の記憶
與さんは、1988年に大阪府枚方市で生まれ、京都府八幡市で育ちました。家庭の中で3番目の子供として成長し、姉と兄がいます。幼少期の記憶はぼんやりとしている中で、一つだけはっきりと覚えているエピソードがあります。それは、幼稚園での出来事です。お絵描きの時間に彼が選んでいたのは、いつもピンクの画用紙でした。しかし、ある日、先生から「ピンクは女の子用だよ」と言われたことで、彼は心に強い違和感を抱くことになりました。後日、母親からも「青のほうがいいんじゃない?」と諭された記憶もあるとのことです。
この一言が、幼少期の自身の性に対する理解を深めるきっかけとなったといいます。當時はまだ性自認や性的指向について理解が浅い年齢でしたが、「自分を否定されたことの悲しさ」を忘れられないと語る彼。もしかしたら、この体験が以後の自己否定の原因となっていたのかもしれません。
家族の影響
また、與さんの個性に大きな影響を与えたのが、父親のDV気質でした。幼少期から父親は毎晩飲み歩いていて、酔っ払って家族に当たり散らすことが日常でした。母親や兄に対する暴力もあり、家庭の中で楽しい思い出はほとんど残っていないとのこと。このような生活は、與さんが成長する中で恐怖の対象となり、父親のような「偉そうなおじさん」に対する嫌悪感が生まれることになりました。
彼は、このトラウマを持ちながらも、優しい父性を持つ男性に憧れを抱くようになったといいます。特に小学生の際に出会った野球のコーチは、その厳しさと包容力から與さんにとっての初恋のような存在だったかもしれません。このような経験が、彼の人格形成にどう影響を与えたのかを振り返る言葉は、強いものがあります。
現代に向けて
與さんは、現在の時代についても考えを持っています。「今はもっと理解が進んで、セクシュアリティの多様性が認められつつある」と語りつつも、まだ理解が進んでいないシーンもあることを認識しています。そのため、自分ができることを一つずつ取り組んでいきたいと強く思っています。
彼のエッセイ『人生そんなもん』には、幼少期のトラウマやカミングアウト後の思いが詰まっています。これからも彼の活動を応援し、世の中が少しでも理解と多様性に満ちたものになってほしいと願っています。
書誌情報
- - タイトル: 『與真司郎フォトエッセイ人生そんなもん』
- - 発行: 講談社
- - 発売日: 2025年4月16日
- - 価格: 1,980円(税込)
- - ISBN13: 978-4-06-538728-3
このエッセイを通じて、與さんの人生や考え方に触れ、深い理解を得ることができると思います。ぜひ手に取ってみてください。