持続可能な美味しさを追求するパイナップルケーキの革新
1998年に菓子業界に足を踏み入れた私が感じたのは、膨大な量の廃棄物が生まれる現実でした。大量生産・大量消費の時代において、多くの素晴らしい菓子が無駄にされるのは、悲しくも当たり前の光景でした。4つの名店で職人として修行を重ねる中で、私は常に「せっかく作ったものが捨てられてしまう」という状況に疑問を抱いていました。
「何か変えなければならない」と強く思っていた頃、友人に贈られたパイナップルケーキとの出会いは、私の思考を大きく変えるものでした。このケーキの魅力はその美味しさだけではありません。特筆すべきは、その圧倒的な「日持ち」です。天候やシーズンに左右されやすい路面店舗にとって、この特性はフードロスを減少させる強力な武器になると確信しました。「これだ、私が求めていたものは!」と感じた瞬間でした。
2ヶ月にわたる試行錯誤の結果、私は納得のいくパイナップルケーキのレシピを完成させ、2021年にシェアキッチンと一台の自転車を持って新たな挑戦を始めました。現在、私の拠点は大和市高座渋谷にあり、そこで新たな循環(サイクル)を作り出すことにも努力しています。
地元のマルシェで出会ったペルーの伝統飲料「チチャモラーダ」を導入し、飲用に使用したパイナップルの皮は地元の無農薬農家に肥料として提供しています。この取り組みは、原材料の廃棄をゼロにすることを目指しています。また、開業以来、商品を一度も廃棄することなく販売していることも誇りに思っています。
私たちの目指すのは、環境に優しく、心から「美味しい」と言える洋菓子の提供です。このパイナップルケーキを通じて、私たちは持続可能な洋菓子文化を育てることを目指し、今後とも努力を続けていく所存です。
この思いを込めたパイナップルケーキとチチャモラーダを、多くの方に楽しんでいただきたいです。美味しさだけでなく、私たちの環境に対する配慮も感じていただけることを願っています。私たちの挑戦は、今後も続きます。