皮膚刺激性試験の代替法研究が特別賞を受賞
化粧品業界の安全性向上を目指す試みにおいて、ロート製薬株式会社を中心とした6社が進める皮膚刺激性試験の代替法に関する共同研究が、日本動物実験代替法学会の第37回大会で特別賞を受賞しました。この研究は、動物実験によらず、安全性評価を進める新しいアプローチとして注目されています。
共同研究の概要
本研究には、ロート製薬をはじめ、小林製薬、サンスターグループ、TOA、マンダム、ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC)が参加しています。
これらの企業は、日本における医薬部外品や化粧品の皮膚刺激性評価に関するガイダンスをもとに、より多くの成分についての評価が可能となるよう、数年にわたる研究を重ねてきました。
2021年4月に厚生労働省から発表されたガイダンスでは、皮膚刺激性がほぼないと予測される成分のみが試験に利用できると定められています。この制約を受け、研究チームは代替法のデータを充実させ、ガイダンスの見直しを目指して活動してきたのです。
研究の背景と成果
化粧品業界では、動物実験代替法のニーズが高まり、実際に評価への導入が進んでいます。特に安全性試験においては、動物実験に依存しない新しい方法の確立を急いでいます。
今回の研究では、「第8回 化粧品等の安全性確保を目的とした試験法評価に関する研究助成金」を受け、J-TECが開発した3次元のヒト培養表皮LabCyte EPI-MODEL24を使用しました。これにより、過去に行った16成分に加え、新たに18成分を調査し、合計24成分の詳細な刺激性データを取得できました。
新たなガイダンス改定の必要性
現在、皮膚刺激性評価においては、未希釈成分に関するガイダンスが存在しているものの、成分を希釈した場合の評価の明確な基準が不足しています。このため、機関間で協力しながら、希釈条件に関するデータも取り入れた新しい基準の策定を進めています。
今後の展望
研究チームは、化粧品業界へのさらなる貢献を志し、試験結果や知見をデータベース化して公表することを計画しています。また、実施したヒトパッチテストとの相関性も確認し、より信頼性の高いデータを提供できるよう、持続的な研究を続ける方針です。
ロート製薬の取り組み
ロート製薬は、動物実験に頼らない研究開発を進めており、コンピュータシミュレーションやデータ解析、培養細胞を用いたin vitro評価法、化学物質の反応性を評価するin chemico評価法などを積極的に導入しています。お客様の安心・安全を第一に考え、時代のニーズに応えられる製品を提供する努力を続けていきます。