味の素がForge社と共同開発、遺伝子治療薬向けサプリメントの生産性向上

遺伝子治療薬の新たな時代を切り開く

味の素株式会社が、米国のForge Biologics社との協力により、遺伝子治療薬の生産性を飛躍的に向上させる培地用サプリメントを開発しました。このサプリメントは、遺伝子治療の要となるウィルスベクターの生産において大きな役割を果たすことが期待されています。実証実験では、従来の約2倍の生産性向上が確認されており、遺伝子治療薬の開発が加速する見込みです。

遺伝子治療とは？

遺伝子治療は、病気の元となる遺伝子を修正または追加することで治療を行う新しい医療技術です。特に従来の医療手段では対応が難しい疾患に対して高い効果が期待されています。市場規模は急成長しており、2030年には約6兆6,700億円に達すると予測されています。この成長の一因として、製造コストの削減や生産性の向上が求められています。

Forge Biologics社との提携

2023年に味の素グループに加わったForge Biologicsは、高純度かつ高性能のアデノ随伴ウィルス(AAV)を用いた遺伝子治療薬の生産に特化した企業です。彼らは世界最大規模のバイオリアクターを保有しており、様々な疾患に対応した治療薬の開発が可能な施設を整えています。この提携により、両社が持つ技術やノウハウが融合し、新たなサプリメントが生まれました。

新しい培地用サプリメントの特徴

味の素が開発したこのサプリメントは、特定の栄養素を細胞に添加することにより、ウィルスベクターの生産を効率良く行うことができるものです。培養に必要な基礎的な栄養素を効果的に配合することで、ウィルスベクターの生産量が約2倍に向上しました。この研究成果は、2025年に日本遺伝子細胞治療学会で発表される予定です。

未来への展望

味の素グループは、2030年を見据え遺伝子治療や細胞治療といった新しい医療分野を注力していく方針です。今回のサプリメント開発を通じて、遺伝子治療薬の製造におけるイノベーションを推進し、さらなるヘルスケアのシナジーを追求します。これにより、アミノサイエンスを基にしたサービスや製品の提供を継続的に行っていく予定です。