地域資源を活かす新たな挑戦
近年、持続可能な食文化や食材の選択肢が注目を集めています。そんな中、大阪府枚方市に誕生した特産品が話題を呼んでいます。それが、近畿大学発の株式会社POIが開発した、枚方産のクマゼミを使った新しいお菓子です。このユニークなお菓子は、地域経済の活性化と特産品の創出を目指しているのです。
クマゼミとの出会い
POI代表の清水和輝氏は、2025年大阪・関西万博に向けた取り組みの一環として「ひらかた万博共創プラットフォーム」に参加。このプラットフォームは、市民が地域への愛着を深めるとともに、共創を通じて枚方の魅力をさらに引き出すことを目指しています。
「特産品の開発」に関する意見交換が行われ、そこで生まれたアイデアからクマゼミを活用したお菓子の開発がスタートしました。この取り組みは、まさに地域の資源を新しい形で生かす意義を持っています。
自然豊かな枚方
枚方市は、都市のイメージが強い一方、実は自然が豊かで、東には生駒山地、西には淀川が流れています。市内には、山田池公園などの憩いのスポットが点在し、この豊かな自然環境がクマゼミの生息地を提供しています。利用できる食材に新たな視点をもたらすため、ユニークなアイデアが実を結びました。
翼を広げたクマゼミ
羽化したてのクマゼミを使用して作られるお菓子の開発過程では、無限の可能性が広がっています。特に、羽化後1〜2時間の間の「ソフトシェル」セミは、柔らかくて食べやすいことで子どもたちにも人気がありました。この時期のセミは、ナッツのような風味を持っており、昆虫食ファンの間でも好評を博しています。
実際に試食会を開いた結果、参加者からは「美味しい」という声が多数寄せられ、セミが食材としての価値を持つことが実証されました。これにより、セミの新たな可能性が明らかとなり、昆虫食に対するイメージも変わりつつあります。
栄養価と健康への影響
POIが行った成分解析によると、クマゼミには豊富なアミノ酸が含まれており、その栄養価は鶏肉や大豆と比較しても優れています。必須アミノ酸は美や健康に欠かせない成分でもあり、特に美容や抜け毛の予防にも寄与する可能性があります。
食材としての可能性
今回、開発された商品は、幼虫と羽化した成虫の2種類。この内、羽化した成虫をメインにした加工食品は日本で唯一です。採取したセミは、乾燥させて燻製風に加工され、ナッツの風味が引き立つ形で仕上げられています。
また、POIのECサイト「かずきの昆虫食博覧会」では、枚方産のクマゼミや他の昆虫料理も同時に販売されており、興味を持つ人々に広く提供しています。数量限定での販売とあって、注目が集まっています。
開発者の思い
清水氏は「セミは非常に食べやすい食材であり、特定の時期や場所を見極めれば採取も簡単」と語ります。昆虫食がまだ新しい視点として受け入れられる日本では、セミをもっと身近な存在にしたいという思いがこもっています。地域資源を活かした新たな挑戦が、食文化に新風をもたらすことを期待しています。
「ぜひ、今年の夏は一緒にセミを採りに行きましょう!」と、清水氏は今後の活躍に向けた意気込みを見せていました。