カネボウアンティークコレクションデジタルミュージアムの魅力
この度、花王株式会社のビューティリサーチ&クリエーションセンター(BRCC)が誇る「カネボウアンティークコンパクトコレクションデジタルミュージアム」が公開されました。この特別なデジタルミュージアムでは、147点の魅惑的なアンティークコンパクトをオンラインで閲覧でき、近代化粧の歴史やその背景に触れることができます。
コレクションの背景
花王BRCCが収蔵するカネボウアンティークコンパクトコレクションは、1950年代から60年代にかけて世界22カ国で製作され、1074点に及ぶ貴重なアイテムから成り立っています。1989年に鐘紡株式会社が収集を始め、10年間かけてこの貴重なコレクションを整えた結果、現在の形となりました。これらのコンパクトは、単なる化粧道具ではなく、化粧品の歴史や文化、美意識を探るための重要な資料として位置づけられています。
女性の社会進出とコンパクト
19世紀から20世紀にかけて、女性の社会進出がコンパクトのデザインや使用方法にも影響を与えました。従来の自宅でのメイクアップから、外での化粧直しを求める女性たちが増える中、初期の小型コンパクトや、ユニークな形状を持つものが登場しました。例えば、ピアノやビリヤードの玉を模したコンパクトなど、時代ごとの流行を反映した多彩なスタイルを楽しむことができます。
デジタルミュージアムの内容
デジタルミュージアムでは、厳選された147点のコンパクトを、理解しやすいように年代別にまとめています。サイトのトップページでは、化粧と社会文化の関係性について紹介されており、さらに7つのテーマで構成されています。
7つのテーマ
1.
「小さく隠れる」~1910年代
コンパクトを隠し持つことが求められた時代。
2.
「宝石」1920年
宝石など贅沢な素材が使用されたデザイン。
3.
「ジャズエイジ」 1925年
ダンスホールで活躍するためのコンパクト。
4.
「アール・デコ」1930年代
洗練されたデザインが特徴の時代。
5.
「トラベルブーム」 1935年
世界を旅する人々のニーズに応えたデザイン。
6.
「各国デザイン」1940年代
各国独自のデザインが注目された時代。
7.
「科学と技術」1950年代
科学技術が進歩し、その影響が見られた時代。
各テーマページでは、これらのコンパクトの詳細情報や製造国、素材、そして当時のエピソードも紹介されています。独自のデザインや色使い、モノづくりへのこだわりが、当時の魅力を今に伝えています。
特別展「アール・デコとモード」
また、この秋には三菱1号館美術館で開催される「アール・デコとモード」展に、フランス製のアンティークコンパクト16点が出展される予定です。この展示では、1925年に開催されたアール・デコ博覧会の概要や、その時代のファッション、化粧品、そして文化的な影響についても紹介されることになっています。
会期: 2025年10月11日(土)~ 2026年1月25日(日)
場所: 三菱1号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
主催者: 三菱1号館美術館、京都服飾文化財団
このデジタルミュージアムを通じて、花王BRCCは美の歴史や化粧の楽しさを伝え続ける使命を果たしています。
ぜひこの機会に、アンティークコンパクトの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。