Glicoの腸内細菌研究が明らかにした新たな健康効果
概要
江崎グリコ株式会社は、独自のビフィズス菌「GCL2505株」と水溶性食物繊維「イヌリン」の摂取が体内の腸内細菌叢に与える影響や短鎖脂肪酸の生成を、人間を対象とした研究で確認しました。この研究成果は、2025年5月に学術雑誌「Bioscience, Biotechnology and Biochemistry」に発表されました。
研究の目的
腸内細菌は、宿主のエネルギー代謝や免疫応答に重要な役割を果たしています。特に短鎖脂肪酸は、腸の健康と密接に関連しており、最近の研究ではその健康効果が多岐にわたることが報告されています。そこで、GCL2505株とイヌリンの併用が短鎖脂肪酸の生産に与える影響をピックアップして研究を行いました。
研究方法と結果
この研究では、便通が安定している健常な成人120名を対象に、GCL2505株とイヌリンを含む乳飲料とプラセボ飲料の二重盲検試験を実施しました。GCL2505株とイヌリンを2週間摂取した結果、便中の短鎖脂肪酸濃度が有意に増加したことが確認されました。
さらに、腸内のビフィズス菌数も増え、腸内細菌の構成が変化することが分かりました。興味深いことに、短鎖脂肪酸が増えた群とそうでない群に分けて解析を行ったところ、後者の群でもビフィズス菌は増えていましたが、腸内細菌全体の機能は変化していなかったことが観察されました。これにより、単にビフィズス菌が増えるだけではなく、全体的な腸内細菌の変化も重要であることが示唆されました。
健康への影響
今回の研究結果から、GCL2505株とイヌリンによる短鎖脂肪酸の増加は、肥満や代謝関連症状の改善に寄与する可能性があることが明らかになりました。前回の研究においては、これらの成分が内臓脂肪や体脂肪の減少、基礎代謝量の向上、血管の柔軟性の改善、さらには認知機能の向上などと関連づけられていました。これらの知見は、短鎖脂肪酸を通じて健康をサポートする新たな仮説を提示しています。
GCL2505株とイヌリンの今後の研究
江崎グリコは「タンサ脂肪酸プロジェクト」を通じて、腸内健康に貢献する研究を今後も続ける予定です。GCL2505株とイヌリンが腸内細菌に与える影響や、短鎖脂肪酸の生成メカニズムを解明することで、健康寿命の延伸を目指しています。また、日常的なGCL2505株とイヌリンの摂取が肥満やメタボリックシンドロームを予防する可能性についても期待されています。
本研究の意義
腸内環境を整えることは、健康維持において非常に重要です。今回の研究により、江崎グリコ独自のビフィズス菌GCL2505株とイヌリンが健康への新しいアプローチとなる可能性が示されました。
今後もさらなる研究により、これらの成分がどのように健康に寄与するかが明らかになっていくことに期待が寄せられます。日々の生活において健康維持が重要視される中、腸内細菌に対する理解を深め、健康をサポートする製品の提供が求められるでしょう。