キリンが描くデジタル未来を目指す「KIRIN Digital Vision 2035」
キリンホールディングス株式会社が発表した「KIRIN Digital Vision 2035」(KDV2035)は、同社がデジタル分野の戦略を明確に示すもので、特に従業員のデジタルスキル強化に力を入れています。そして、この構想の中で重要な役割を果たすのが、独自の研修プログラム「DX道場」です。
デジタルを成長のドライバーに
キリングループは、長期経営目標「キリングループ・ビジョン2027」において、「価値創造を加速するICT」をテーマに掲げています。これは、デジタル技術を成長の重要な要素とし、特に生成AI技術の急速な進化や消費者行動の変化を背景に、デジタルを活用して創出する価値をさらに高めることを目指しています。
KDV2035では、「人がやらなくてよい仕事をゼロにする」という生産性向上の理念と、「人と共に価値を生み出す仕事を加速させる」といった価値創造をビジネスの核として強調しています。この二本柱に支えられ、食・ヘルスサイエンス・医療の分野での価値創造を向上させることを目指しています。
従業員のデジタルスキルを強化する「DX道場」
「DX道場」は、2021年からスタートし、これまでに約3,800人が受講しています。さらなる進化を遂げるこのプログラムは、2025年春には生成AIツール「BuddyAI」を活用した新たな研修内容を導入予定です。具体的な改革ポイントは以下の通りです:
- - 業務の実践重視:普段の業務で使えるスキルを習得できるよう、実践的な研修体系を採用します。
- - リーダー層の必須受講:研修の受講をリーダーに義務づけ、組織全体でのスキル向上を図ります。
- - 受講のしやすさ:e-learningを導入し、忙しい従業員が無理なく受講できる環境を整備。
- - スキルアセスメント:受講後にはスキルの可視化を行い、自身の成長を実感できるようにします。
2025年の全体受講者数は約4,900名を見込んでおり、特に上級コースの受講者数は昨年の3.9倍と大きな伸びが期待されています。
生成AI関連講座も充実
さらにキリングループは、「DX道場」に加えて、生成AIに特化した講座も拡充しています。「生成AI導入研修」や「リーダー向け生成AI利用マインドセット研修」などが新たに設けられ、従業員が最新の技術を取り入れ、効果的に活用できることを目指しています。
未来へ向かう持続的成長
キリンは、「KDV2035」に示された「人がやらなくてよい仕事をゼロにする」目標と「人と共に価値を生み出す仕事を加速させる」戦略を着実に実行し、食から医療にわたる市場でCSV(Creating Shared Value)先進企業としての地位を確立していく展望を描いています。デジタルの力を活かした持続的成長と、社会への価値創出に向けた取り組みは、これからも続いていくことでしょう。