単身者の食生活変化を分析、便利さと多様性の新潮流
近年、単身者の食生活において変化が急速に進んでいます。キユーピー株式会社が実施した2024年度の「えがおの食生活研究」では、コロナ禍を経た新たなトレンドが鮮明になったとのこと。今回はその詳細をお伝えします。
食生活の満足度が上昇
調査によると、単身者の食生活満足度は非常に高くなっています。特に20代男性の満足度が44.7%に達し、全体的な食生活の「内食化」が進んでいることが示唆されています。家での食事を楽しむことで、食の質が高まり、それが満足度に繋がっていることが分かります。過ごしやすい家の環境と、自宅で手作りする料理の楽しさが、全体の満足度を押し上げているのでしょう。
手作り料理の男女比逆転
近年、手作り料理を楽しむ単身男性が増加しており、実際に男性比率が52.6%にまで上昇しました。特に30代男性での自炊する割合が高く、一方40代女性では減少傾向にあります。この背景には、生活スタイルの変化や社会的な役割意識の変化が影響していると考えられます。若い男性が料理を楽しむ姿勢が強まっている一方で、女性は仕事と生活のバランスを重視していることが影響しているようです。
手作りの概念の変化
さらに、手作り料理の概念自体も変わっています。伝統的に「生鮮を使った手作りが重要」という固定観念が薄れ、手軽さを重視するスタイルが主流となってきました。調査では、生鮮を使わない料理を手作りと捉える傾向も見られ、労力をかけずに栄養価の高い食事を摂ろうとする意識が伺えます。このような変化は、時間のない現代人の生活スタイルに合わせた結果とも取れるでしょう。
食の位置付けの変化
興味深い点として、食事メニューに対する重視点が「一つもない」という回答が25.1%に上りました。これは、食が生活の中での優先事項から少し外れつつあることを反映しています。他の活動や趣味に時間を使いたいという思いが強まっていることが、食に対する価値観にも影響を与えていると考えられます。
コンロ離れが進む現代
特に20代や30代女性においては、コンロを設置しない方が増加しています。調査では、「調理は自分には必要ない」といった意見もあり、電子レンジなど利便性の高い調理機器が主流になっている様子です。ここでも、効率性や実用性が重視されていることが伺えます。
まとめ
今回の「えがおの食生活研究」は、単身者の食生活における重要な変化を浮き彫りにしました。食生活の満足度が高まり、多様な味を楽しみたいという欲求が強まる一方で、伝統的な手作りの概念が緩和され、合理的で効率的な食のスタイルが求められる時代に突入しているといえます。今後もこのような変化に対して、企業や社会がどのように応えていくかが注目されます。