舞台『殿様と私』が開幕!
松本市民芸術館がプロデュースする舞台『殿様と私』が2025年2月13日から開幕します。この作品は、俳優・脚本家・演出家のマキノノゾミが手掛けた傑作戯曲で、2007年に初演されたものです。ミュージカル映画《王様を私》を基にしたこの物語は、急激な西洋化に適応できずに苦しむ殿様とアメリカ人女性の物語を描いています。
異文化交流の物語
物語の舞台は明治19年、日本が鎖国を解除した後の時代です。白河義晃子爵(升毅)は、時代遅れの殿様として西洋化に擦り切れそうになっています。ある日、彼の家令である雛田源右衛門(松村武)が外務卿の書生に侮辱される事件が勃発します。義晃は誇りを傷つけられ、討ち入りを決意しますが、息子の義知(久保田秀敏)からダンスで反撃する提案が。
困惑する義晃ですが、アメリカ人女性のアンナ(水夏希)の指導のもと、ダンスの特訓が始まります。彼の困難なダンス練習を通じて、彼は周囲とのコミュニケーション方法を見つけることになります。
魅力あふれるキャスト
この作品の魅力は、個性豊かなキャスト陣にあります。升毅は、頑固ながら愛らしい殿様を見事に表現し、笑いを誘います。対するアンナ役の水夏希は、凛とした印象とお茶目な面のギャップを伝えています。また、義知役の久保田は、冷静で優しい一面を持つ青年を演じ、観客の心を掴みます。
平体まひろが演じる娘・雪絵は、自己成長の過程を瑞々しく描き出し、観客に感動を与えます。加えて、武居卓が通訳役を担当し、雛田を演じる松村は、西洋文化を嫌うキャラクターをユーモラスに演じるなど、各キャストの演技の掛け合いが楽しませてくれます。
現代にも通じるテーマ
『殿様と私』は、明治時代の物語ながら、現代にも通じるテーマがあります。時代に取り残された義晃を笑いながらも、その心情に共感できる部分があり、変化を受け入れる若者たちの姿にも希望を見出せます。この作品は単なる喜劇ではなく、日常の変化や文化の壁を乗り越える力強さを伝えてくれるのです。
作中では日本語だけでなく、異なる言語によるコミュニケーションの難しさが巧みに描かれています。時には言葉が通じずとも、心からの交流があることを感じさせてくれる場面が数多く用意されています。
観劇のすすめ
この舞台は松本市民芸術館小ホールで2025年2月13日から16日、そして大阪近鉄アート館で28日から3月2日まで上演されます。気軽に笑って泣ける、そして文化や価値観の違いについて考えさせられるこの作品をぜひご覧ください。
マキノノゾミは、「日本語話者と英語話者のディスコミュニケーション」がテーマであると同時に、全てのセリフが日本語であるため、視覚的にも楽しめる要素が多いと語ります。多様なキャストの個性を活かした舞台で、心を動かされる瞬間を体験してみてください。
日常の中で、笑いや感動を求める全ての人におすすめです。松本の美しい街で、素晴らしい文化を感じるひとときをお楽しみください。