おいしいクッキーの秘密が解明!新機能搭載の咀嚼シミュレーター
近年、食品業界での研究開発が進む中、株式会社J-オイルミルズは大阪大学大学院と共同で、咀嚼過程を模擬するシミュレーターに新機能を追加しました。これにより、クッキーなどの食品の口どけ感を可視化できるようになりました。この技術革新がどのようにして実現したのか、そしてそれが食品開発にどんな影響を与えるのかを見ていきましょう。
咀嚼シミュレーターの新機能とは?
今回搭載された液体添加機能は、ヒトの咀嚼過程を再現し、クッキーなど低水分の食品が口の中でどのように変化するかを評価するための画期的なものです。従来、咀嚼過程に関する評価は、硬さや弾力など機械的な特性に依存していました。しかし、これでは咀嚼中の微細な変化を捉えるには限界がありました。
新しいシミュレーターでは、噛む(1)、すりつぶす(2)、唾液を混ぜる(3)、整える(4)という全ての咀嚼プロセスを考慮に入れています。これにより、クッキーが口の中でどのように溶けていくのかが、実際の口腔内に近い条件で再現され、より正確に「口どけ感」を評価できるようになるのです。
開発背景と目的
J-オイルミルズは、「おいしさデザイン」を企業の使命として掲げており、食べ物のおいしさを向上させるために様々な研究開発を行っています。その中で、テクスチャー素材としてのでんぷんを利用し、食感をコントロールして食品の魅力を引き出しています。
咀嚼から得られる食感は、味や香りだけではなく、歯ごたえや舌触りなど多様です。これらを数値化し、定量的に評価することは、食品開発には不可欠なのです。従来の評価法では難しかった咀嚼後期の食感変化を測ることができることで、開発に役立つデータを提供できるようになります。
液体添加機能の意義
液体添加機能により、クッキーなどの低水分食品が唾液と混ざる様子を再現し、その変化を視覚的に捉えることができるようになりました。これによって、口の中での食品の溶解過程やテクスチャーの変化も明らかにされます。
教授の東森充氏は、「ヒトの咀嚼を機械的に評価することができる新しいアプローチが確立された」と述べており、食品の安全性やおいしさの開発に貢献することが期待されています。
未来の展望
この新たな技術は、J-オイルミルズが提供する様々な製品の品質向上に寄与するだけでなく、他の業界とのコラボレーションにも繋がる見込みです。企業の使命である「おいしさデザイン」に基づき、食品業界全体の評価システムを向上させ、よりよい社会の実現を目指していくとのことです。
さらに、2025年には東京ビッグサイトで行われるセミナーで、その成果が発表される予定です。この機会に、多くの関係者が新技術の可能性に触れ、未来の食品開発に活用することが期待されています。
まとめ
咀嚼シミュレーターの技術革新は、美味しい食品の探求に新たな光をもたらします。特に、クッキーのような食品の口どけ感を数値的に評価できることで、消費者が本当に求めるおいしさの実現に一歩近づきました。これからの食品開発が、どのような成果をもたらすのか、目が離せません。