ファッションが変える未来のおむつデザインとSDGsへの挑戦
京都精華大学のデザイン学部ファッションコースが、大阪・夢洲で開催された「EXPO 2025 大阪・関西万博」において、『未来のおむつコレクション』を披露しました。このプロジェクトは、株式会社ワコールと協力し、持続可能なファッションの新しい形を提案することを目的としています。
このコレクションの中心となる「O-MU-TSU WORLD EXPO」は、一般社団法人日本福祉医療ファッション協会が主催するイベントで、おむつをテーマにしたトークショーやコレクションが展開されます。万博参加者は、年齢、体形、信仰といった多様なバックグラウンドを持つ方々で、同イベントを通じておむつを親しみやすい存在として再定義することを目指しています。
革新的デザインの数々
6月24日に行われたファッションショーでは、31点のおむつがデザイン性と機能性を兼ね備えた形で発表され、観客を魅了しました。既存の製品の枠を超え、おむつメーカーや下着メーカー、さらには伝統工芸の企業が新たな視点でおむつをデザインすることで、オシャレでユニークなアイテムとしての位置付けが強調されました。
特に注目を集めたのは、着用することに心理的な負担を感じることが多い大人用おむつを、スタイリッシュなファッションアイテムとして再提案した点です。ファッションコースの学生たちがアイデアを形にし、誰もが自信を持って使えるおむつの未来を切り開いています。
学生の情熱と持続可能なデザイン
学生たちは、ワコールとのコラボレーションを通じて、商品の製造過程で発生した残素材を活用し、持続可能性を重視した作品を生み出しています。この取り組みは、万博のSDGs(持続可能な開発目標)の理念に沿ったものであり、廃材を新たな価値ある作品に蘇らせる試みとなっています。このように、「おむつ」という日常的なアイテムに、革新と美しさを融合させるデザインは、社会の価値観に新たな光を当てるものです。
参加した学生の声も、非常にポジティブです。「ファッションの力で、誰もが自分らしく生きられる社会を目指しています」と初田真悟さんは語ります。彼とともに参加した安江心良さんも、「この経験を通じて、もっと多くの人におむつのデザインを楽しんでもらいたい」という熱い思いを表現しました。
学びの場としての京都精華大学
京都精華大学のファッションデザイン専攻では、「着る人」のためのデザインを追求し、社会に貢献することを目指しています。服づくりの技術やニーズの分析だけでなく、ファッションビジネスの現場という実践的な学びを通じて、広い視野を持つクリエイターを育成しています。今後、彼らがどのような社会的影響を及ぼすのか、目が離せません。
教員の指導方針
指導する小北光浩教員は、業界経験を生かしながら、学生たちに実践的な知識を提供しています。彼の教えを通して、多様な価値観を尊重したデザインが生まれ、社会問題に対する解決策を探求する力を身に付けることができるのです。
京都精華大学が目指すのは、単にファッションを学ぶことだけではなく、社会の課題解決に向けた意識を持った次世代のクリエイターを育てることです。今回の試みは、その一環として行われた重要なプロジェクトと言えるでしょう。未来のファッションは、私たちの生活をより豊かにするための鍵となるかもしれません。