治一郎バウムの秘密
2025-05-29 15:41:01

偶然から生まれた名品、「治一郎バウムクーヘン」の誕生秘話

偶然の産物が生み出した美味しさ



浜松のパン工場にて、ある日偶然に生まれたのが「治一郎バウムクーヘン」です。この名品は、古い焼成機から新しい食感を兼ね備えた生地が焼き上がったことから始まりました。当初は大手菓子会社の下請けをしていたころ、工場の職人たちが手がけていたものでしたが、その焼き上がり具合に思わず目を見張ることとなったのです。

奇跡の再現



その際、工場長たちは「失敗作」と呼べるこの新しいバウムクーヘンの味わいに感動しました。通常の基準を超える水分量がもたらすしっとりとした食感。この新たな可能性に気づいた彼らは、この魅力を再現することに挑み、やがては高級自社ブランドとして製品化されるに至ります。こうして、日本中にファンを抱える名菓が誕生したのです。

地方から全国へ



地方の食品メーカーがこのような名菓を生み出し、さらには全国的な販路展開を果たしたというのは、まさに奇跡と言えるでしょう。その背後には、株式会社ヤタローが持っている「商品を育てる心」という精神が息づいています。「もったいない」の精神から生まれたこの新しいバウムクーヘンは、思いもよらぬ成功を収めました。

工場直営店の盛況



浜松のヤタロー本社工場横にある「工場直営店」では、観光バスが立ち寄るほどの人気ぶりを誇ります。ここでの名物「切り落としバウムクーヘン」は、その形が不揃いなため贈答用には向いていませんが、味は治一郎バウムクーヘンに引けを取りません。ただし、安定した売上を確保するためには、さまざまな試行錯誤が必要でした。たとえば、均一価格ではなく、グラム売りを採用したり、特製の陳列台を造る工夫が行われたりしました。

商品を育てる姿勢



ヒット商品がいきなり飛ぶように売れることは稀です。ロングセラーとして愛される商品は、最初は必ずといっていいほど売れ行きが鈍いのが常です。そのため、営業員や店舗スタッフの工夫によって売上を拡大させる必要があります。ヤタローも、「商品を育てる」姿勢を貫いています。

創業者の理念



創業者の中村伸宏氏の地元、輪島で育まれた「粘り強さ」をベースに、5つの理念「工夫」「感謝」「信義」「共栄」「継承」を全社で広めています。目指すは300年続く企業としての姿。地方から全国へと挑戦する企業として、多くの示唆に富んだ内容が詰まっています。次世代の経営維持のためのノウハウが多くの企業へと伝えられることを期待しています。

書籍情報



書籍名: 『ヤタローと治一郎』
ISBN: 978-4-478-08504-2
価格: 1,600円(税別)
発行: ダイヤモンド社
発売日: 2025年5月13日

この一冊は、50年以上経営のトップにあった中村伸宏氏がその道のりを語るものです。この中に詰まった経験や知恵は、次代のビジョンを持つ企業経営者にとって重要な指針となることでしょう。


画像1

関連リンク

サードペディア百科事典: 治一郎 バウムクーヘン ヤタロー

トピックス(グルメ)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。