菊池川流域の米づくりを科学的に評価する共同研究が始動
この度、熊本県の菊池川流域において、米づくりの歴史、文化、自然環境、食味を統合的に評価する共同研究が始まりました。この研究は、熊本大学大学院先端科学研究部附属 生物環境農学国際研究センターと合同会社くまもとごはんの協力により進められます。両者の専門家たちは「Kikuchi Terroir Index(KTI)」という新たな米の評価体系を構築し、農業と文化の相関を明らかにすることを目指しています。
研究の背景
菊池川流域は、弥生時代から現在に至るまでの約2,000年間にわたり稲作が続けられてきた特異な地域です。そのため、2017年には文化庁から「日本遺産」に認定され、33件の文化財がこの地域の深い歴史的背景を示しています。しかし、米の評価は主に食味や外観、収量に注力されており、地域の土壌条件や歴史的価値が十分に考慮されていなかったのが実情です。
さらに、国際化の進展に伴い、ワインなどの農産物のテロワール研究が進む中、日本の米に必要な評価の枠組みが見つかっていません。また、2,000年にわたる稲作文化を次世代に伝えるための学術的な記録も不足しています。
研究の目的と内容
この共同研究では、歴史文化と自然科学を融合させ、菊池川流域の独自性を科学的に記録し、発信することを目的としています。研究は三つのステップで進行します:
1.
歴史文化価値の可視化: 文献調査やGISマップを使用して、過去の遺産や水利システムを可視化します。
2.
自然条件と品質の分析: 地質別の土壌や水質分析を行い、菊池川水系のミネラル成分や気候条件を解析します。
3.
米の評価体系の構築: 歴史的、地理的、品質的、持続可能性の観点から、米の評価体系を学術的に設計します。
Kikuchi Terroir Index(KTI)とは?
KTIは、米の産地特性を評価するための新たな指標で、歴史文化性、テロワール性、品質性、持続可能性の4つの軸があります。それぞれの軸は4段階で評価され、フランスのワインの格付けを参考にした形で、米の持つ固有の価値を明確にすることを目指します。
地域への意義
この研究は、稲作文化、自然環境、米の品質に関する学術的な知見を積み重ね、地域の農業や食文化を科学的に発信することを目指します。これにより、約2,000年の稲作の歴史や、日本遺産の特徴を国際的に伝えることができると期待されています。
今後の展望
この共同研究の契約締結は2026年4月に予定され、様々な調査や分析が行われます。研究成果を通じて、日本の米に新たな価値を見出し、未来に向けた農業の一翼を担っていくことが期待されています。熊本大学と合同会社くまもとごはんが織り成すこのプロジェクトに注目が集まるのは間違いありません。