日本初の分散型3Dプリンターファーム「PrintHub」の実現とビジョン

日本のものづくりの未来を切り拓く画期的なプロジェクトが始まりました。APPLE TREE株式会社と名古屋工芸が手を組み、新たに設立された分散型3Dプリンターファーム「PrintHub」です。この事業は、全国各地に配置された3Dプリンターをネットワークで結び、効率的な製造を実現することを目的としています。

PrintHubが目指す製造の未来

「PrintHub」では、複数の3Dプリンターを集中管理し、必要な部品や製品をオンデマンドで生産することが可能になります。これにより、従来の製造で必要とされていた金型や大型射出成形機が不要となり、コスト削減や短納期対応が実現。特に小ロット生産に強いこの新しいモデルは、国内外から注目を集めているのです。

第一号拠点は2026年春から本格稼働予定で、最大120台のBambu Lab製3Dプリンターを運用します。それぞれのプリンターは高精度かつ高速で、従来の製造プロセスを根本から見直すことが期待されています。これにより「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ作る」というJust In Time型の製造が可能になります。

人手不足解消へ向けた取り組み

製造現場の人手不足が深刻化する中、「PrintHub」の設計は少人数での運用を前提としています。これにより、持続可能な生産体制の構築を目指すとともに、地域の雇用創出にも貢献できるとしています。

名古屋工芸との協業による価値創造

このプロジェクトは有限会社名古屋工芸との協業によって進められています。名古屋工芸は、自動車関連廃材を利用したフィラメント製造から、3Dプリントに至るまでの一貫した体制を整えています。その取り組みはサステナブルで、高付加価値な製造を実現するための新しい可能性を見出すものです。

APPLE TREEは3Dプリンターの導入と、そのマーケティングノウハウを提供し、PrintHubを通じて分散型で柔軟な製造モデルを社会に実装していくことを目指しています。

幅広い活用用途

PrintHubは、個人クリエイターや企業ユーザーに向けても多様な利用方法を提供します。個人にはイベント用の造形物や小ロットの生産を外注する手段を、企業には試作や補修部品の迅速な製造を可能にします。この柔軟な製造体制は、これまでの製造工程では対応が難しかった「少量・多品種・短納期」のニーズに応えることが期待されています。

未来の製造と地域産業の活性化

工業革命以降、製造業では大量生産・集中生産が大きな流れを持っていましたが、3Dプリンター技術の進化により、地域に根付いた分散型生産の時代が訪れつつあります。PrintHubは、製造拠点を地域ごとに分散化することで、物流負荷と環境負荷を軽減し、地域産業の活性化にも寄与することを目指しているのです。

将来的には、インターネットで製品を購入するのではなく、「データを購入し、近くのプリンターで製造する」という新しいものづくりの形が広がることが期待されています。