被爆ピアノの響きと平和の歌声
土浦市で10月13日、被爆ピアノの演奏会が開催され、423名の参加者が集まりました。このイベントは、生活協同組合パルシステム茨城 栃木の主催によって行われ、被爆・戦後80年を迎えたことを記念しています。演奏と共に映画『おかあさんの被爆ピアノ』も上映され、会場は平和を願う思いで溢れました。
被爆ピアノの音色で平和を奏でる
演奏会では、広島で被爆したピアノが使われ、土浦市立土浦第二小学校の合唱団38人がその伴奏で歌を披露しました。子どもたちにとって、被爆ピアノの演奏は初めての経験であり、「全世界の平和を願って歌います」との思いが込められた7曲を披露しました。
子どもたちの歌声
合唱の1曲目は元気な「気球に乗ってどこまでも」。心躍るメロディに合わせて、子どもたちの声が会場に響き渡りました。続いて歌われた「あおい天使」では、NHK全国学校音楽コンクールの課題曲として、戦前から続くこのコンクールへの思いを伝えました。彼らは「被爆した人が参加したことがあるかもしれない」との意識を持ち、未来へと羽ばたく天使の気持ちを表現しました。
次に披露された「青い空は」は、1971年に原水爆禁止条約が採択された記念の歌で、核兵器廃絶に向けたメッセージが込められています。大西進さんに指導を受けた子どもたちは、「原爆をなくしたい」という思いを胸に、改めて平和の大切さを感じ出しました。
演奏の合間には、紙芝居「英ちゃんと原爆」を通じて被爆の実相を学んだ子どもたちが、各自の思いを語りました。彼らは「原爆の怖さを知り、平和のためにできることを考えました」と述べ、平和を守るための意志を強く表現しました。
ピアノの歴史と矢川光則さんの活動
上映された映画『おかあさんの被爆ピアノ』は、調律師の矢川光則さんの活動をモデルにした作品です。彼は10年間もかけて被爆者の声を集め、この映画を制作しました。2020年の公開後も全国で上映され、英語字幕版も作成されてアメリカの映画祭で平和賞を受賞しました。
矢川さんは1998年、被爆者から受け取った1台のピアノを修復して以来、全国各地で被爆ピアノのコンサートを行ってきました。彼自身、被爆2世として育ち、広島を経て多くの人に平和のメッセージを届ける活動を続けています。これまで3,000回以上の演奏会を実施し、子どもたちにピアノの音色を通じて平和の重要性をリアルに体感してもらっています。
決意を新たに
演奏会は、被爆ピアノの持つ歴史的背景を伝える場でもありました。矢川さんは、「今日の演奏会が平和の尊さを考えるきっかけになってほしい」と参加者に呼びかけました。演奏が終わると、駒野将崇さんが独奏して会を締めくくり、響く音色が会場に幸せな余韻を残しました。参加者からは多くの平和メッセージも集まり、81枚の想いが寄せられました。
今後もパルシステム茨城 栃木は、次世代に平和の重要性を伝えていく活動を続けていきます。2025年には国際協同組合年を迎え、さらなる活動の充実が期待されます。未来へ向けた平和の種をまくことが、私たち一人ひとりの使命です。