母乳とアレルギーリスク
2025-05-27 12:08:24

母乳中のポリアミンと食物アレルギーリスク低下の関連性が示された調査結果

研究結果の概要



最近行われた第3回全国母乳調査では、母乳中のポリアミン濃度と児の食物アレルギー発症との関連が調査され、その結果が2025年5月23日に開催された第79回日本栄養・食糧学会で発表されました。雪印ビーンスターク株式会社と雪印メグミルク株式会社が共同で実施したこの調査では、1,210組の母親と乳児のデータが収集されました。

この調査により、母乳中のポリアミンの濃度は、産後1-2か月と比較して産後11-12か月で著しく低下する傾向があることが確認されました。また、ポリアミン濃度の高い母乳を摂取した乳児は、3歳までの食物アレルギー発症リスクが低下していることがわかりました。この発見は、母乳の成分が乳児の健康に与える影響を示しています。

ポリアミンの役割について



ポリアミンとは、アミノ基を二つ以上含む炭化水素のことを指し、生体アミンに分類されます。ポリアミンは、細胞の増殖や免疫の調節など、生物のさまざまな生理機能に必要不可欠な成分です。近年では老化に対する影響についても研究が進められています。特に、ポリアミンは母乳中にも含まれており、乳児の消化器系の発達や免疫機能の成熟を助ける重要な役割を果たしていると考えられています。

しかし、母乳中のポリアミンの具体的な影響に関する研究は未だ限られており、さらなる調査が求められています。今回の研究は、この重要な成分に光を当てるものとなっています。

調査結果の詳細



食物アレルギー発症の有無による比較



発表された研究の一環として、児が食物アレルギーを発症した群としなかった群における母乳中のポリアミン濃度の違いが明らかにされました。統計的検定の結果、食物アレルギーを発症しなかった群の母乳中ポリアミン濃度は、有意に高い値を示しました。この値は中央値で24%の差があり、驚くべき結果となっています。

ポリアミン濃度とアレルギー発症との関連分析



さらに、多重ロジスティック回帰分析によって、母乳中のポリアミン濃度と3歳までのアレルギー発症の関連が調べられました。この結果、ポリアミン濃度が高い母乳を与えられた乳児は、アレルギーが発症するオッズ比が有意に低下することが示されています。このことから、乳幼児におけるアレルギーの予防に向けた新たなアプローチへの期待が高まります。

産後のポリアミン濃度の変化



最後に、調査は母乳中のポリアミン濃度がどのように変化するかを追跡しました。具体的には、産後1-2か月、5-6か月、11-12か月に採取された母乳を比較したところ、ポリアミン濃度が産後11-12か月で有意に低下し、中央値で36%の減少が確認されました。この結果から、母親の授乳期間が乳児に与える影響を検証する必要があると考えられます。

今後の研究への期待



今回の研究結果は、母乳の成分が児の健全な成長に与える影響を再確認させるものであり、今後さらなる研究が期待されます。母乳は、単なる食料ではなく、命の源であることを改めて実感させる調査結果です。母乳中のポリアミンのさらなる研究が進むことを願っています。これからも雪印ビーンスタークは、母乳研究の重要性を強調し、母親と乳児の健康を支援していくことでしょう。


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