持続可能な社会の実現に向けた挑戦
2023年に、アサヒ飲料、伊藤園、キリンビバレッジ、コカ・コーラボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナルの5社が新たに立ち上げた『社会課題対応研究会』。この研究会は、私たちの生活に欠かせない清涼飲料業界が抱える社会課題に取り組むために結集した意思表明です。物流2024年問題や温室効果ガスの排出、さらには食品ロス問題など、多岐にわたる課題に対して、業界を超えた協力を進めていく方針です。
環境負荷低減を目指して
社会や環境への意識が高まる中で、飲料業界が果たす役割はますます重要性を増しています。特に、容器や包装に関する環境負荷を低減する取り組みが活発化しています。具体的な施策として、ペットボトルやキャップの軽量化が挙げられます。欧州での成功事例を参考に、日本独自の品質を保ちながら、飲み口の長さを短縮し、重さを軽くする新しいペットボトルの開発が計画されています。この変更により、年間で約10万トンの温室効果ガスを削減できるとされています。
物流の効率化が鍵
物流2024年問題として知られるトラックドライバーの不足は、飲料業界にも深刻な影響を及ぼします。この問題を解決するためのテーマが、納品時の賞味期限の緩和です。長期間賞味期限が保たれている清涼飲料は、日付を逆転させても消費者の購買行動に与える影響が少ないというデータが得られています。新しいルールのもとで、流通企業との協力の下、日付逆転品の運用テストも予定されています。
食品ロス削減への意識
特に重要な課題である食品ロス削減に向けても、各社は真剣に向き合っています。従来の物流過程で発生していた食品ロスの問題を緩和するため、各メーカーは協働し、取引ルールの見直しを進めています。また、消費者の賞味期限への意識調査を行い、どのように改善策を進めるべきかを探求しています。
再エネ利用の促進
環境に優しい社会の実現に向けた取り組みとして、サプライヤー企業との再生可能エネルギーの利用が推進されています。余剰電力の購入を通じて、サプライチェーン全体での環境負荷を低減する試みが進行中です。本研究会としては、農林水産省などの公的機関とも連携し、社会全体で取り組むべき課題へと進化させていく方針です。
これからの展望
五つの飲料メーカーが一体となり、持続可能な社会の実現に向けた挑戦を続けることで、消費者や社会全体に向けたメッセージを発信しています。これらの取り組みが徐々に実を結び、業界全体が環境に優しい方向に舵を切ることが期待されます。今後も、このように積極的な活動を通じて、私たちの生活と環境を守る努力が続くことを期待するばかりです。