ロレアルの革新技術が変える化粧品の未来：次世代素材の開発に迫る！

ロレアルの革新がもたらす化粧品の未来

化粧品業界の最前線で活躍するロレアルリサーチ＆イノベーションジャパン（R&Iジャパン）が、革新的な素材の開発に取り組んでいます。2025年9月25日に工学院大学で開催された高分子学会のシンポジウムで、研究員の五十島健史氏は「イオン相互作用による機能性マテリアルの創製」と題して講演を行いました。この発表では、化粧品における新しいアプローチが取り上げられました。

化粧品と科学の融合

近年、化粧品の役割がただの美を提供することから、科学的なアプローチによる効果向上へとシフトしています。五十島氏は、化粧品が持つ粘弾性体の特性を活かし、環境変化に応じた機能性を実現するための材料を開発しています。

化粧品は、液体と固体の特性を併せ持つことで、フィルム形成や油分カプセル化といった機能を発揮します。特に注目されるのは、イオン結合や水素結合を介して形成される「ソフトマター」。これにより、化粧品は皮膚上で環境の変化に応じてその特性を変化させ、持続的な効果を発揮することが可能になるのです。

ナノゲル粒子の開発

五十島研究員は、具体的な材料としてセルロース誘導体のポリクオタニウム-67（PQ67）と植物由来のフィチン酸（PA）を挙げました。これらを適切な比率と濃度で混合することで、ナノゲル粒子（ポリイオンコンプレックスゲルパーティクル、PGP）を創出します。このナノゲルは、水中では約10nmのゲル構造を持ち、乾燥することで皮膚上に強固なフィルムを形成します。

このフィルムは、優れた耐水性を備え、さらには自己修復機能も持つことで化粧持ちを大幅に改善することが期待されています。また、PGPは従来のPQ67やPA単体の使用に比べ、油分の安定性が大幅に向上し、乳化の効果も高まります。これにより、軽やかな使用感を持つ化粧品の実現が可能になりました。

日焼け止めへの応用

特に、油性成分が高含有される日焼け止め製品において、PGPは粉体と協力し、三次元のネットワーク構造を形成します。このネットワークはテカリを抑制し、持続的な紫外線吸収能を発揮することがわかりました。実際、この技術はランコムから2025年4月に発売された「UV EXPERT XTREEM SHIELD」にも応用されています。

日本の研究開発の歴史

ロレアルリサーチ＆イノベーションジャパンは1983年から日本において研究開発を行っており、文化や社会に対する深い理解をもとに、200名以上の研究員が様々なブランドや製品開発に取り組んでいます。特に、ランコムやシュウウエムラ、イヴ・サンローランといった人気ブランドの製品を手掛けることにより、美の科学を推進しています。

このように、ロレアルの革新技術は化粧品業界に新たな風を吹き込み、消費者にとっての製品体験を豊かにしています。今後も、さらなる研究開発が期待される中、私たちもその成果を楽しみにしています。