ニチバンとサイントル、肺疾患早期発見デバイスを共同開発
最近、ニチバン株式会社とサイントル株式会社は、肺疾患、特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)の早期発見を目指すウェアラブルデバイスの共同開発契約を結びました。この新技術により、患者はより早く、簡単に自分の健康状態を把握することができるようになります。
COPDとは?
COPDは、主にタバコの煙やその他の有害物質の長期的な曝露によって引き起こされる呼吸器疾患であり、日本国内では40歳以上の約530万人が患者とされています。ただし、その中には診断や治療を受けていない人が約500万人も存在しているとされ、早期発見が求められています。日本COPD疫学研究(NICEスタディ)によれば、COPDは自己診断が難しく、初期症状が薄いこともあって診断が遅れる傾向にあります。
このような状況を改善するために、厚生労働省は「健康日本21(第三次)」プログラムの一環として、COPDの早期発見と悪化防止を重要課題としています。
新しいウェアラブルデバイスの特長
ニチバンとサイントルは、革新的な技術を駆使して、呼吸運動を可視化するウェアラブルデバイスを開発します。以下はその特長です:
1.
簡便な使用法
患者はデバイスを胸に貼るだけで、呼吸状態を簡単に測定できるようになります。これにより、専門機器に依存せず、手軽に健康状態のチェックが可能となります。
2.
多機能なデータ取得
このデバイスは、有機光学素子を用いて呼吸と脈拍を同時に連続測定できることが特徴です。これにより、日常生活の中で手軽に健康を管理する手助けとなります。
3.
肌に優しい設計
ニチバンが持つ先進の粘着技術によって、利用者の肌に負担をかけないテープを採用しているため、安心して使用できます。
開発の展望と今後のスケジュール
両社は、2026年にこのデバイスを一般医療機器として試験販売し、2027年には本格的な量産を目指しています。COPDのみならず、その他の慢性呼吸器疾患に対しても応用可能な技術として展開する計画です。また、本デバイスの開発にあたっては、信州大学の専門家からもサポートを受けており、臨床研究も進められています。
企業情報
ニチバン株式会社
ニチバンは1928年に創業し、セロテープや絆創膏など、日常生活に役立つ多くの製品を開発し提供してきました。彼らの技術は、粘着や接着に特化しており、健康やビジネスの発展に貢献することを目指しています。
サイントル株式会社
サイントルは2018年に設立され、スキンエレクトロニクスの技術を医療分野へ提供するスタートアップ企業です。最近では、災害時の健康管理支援システムなど新しいサービスの開発にも取り組んでいます。
このように、両社の協力による新しいウェアラブルデバイスは、COPDの早期発見に加え、今後さまざまな病状のモニタリングにも役立つことが期待されています。