ロッテがベトナムで目指す持続可能なカカオ農業の未来

株式会社ロッテが、ベトナムのカントー大学や日本ハイドロパウテック株式会社と連携し、2023年5月より始まった共同研究の成果をもとに、カカオ農業の新たな可能性を探る実証実験をスタートしました。このプロジェクトは、環境問題を解決し、持続可能なカカオ産業を構築することを目指しています。

取り組みの背景と重要性

カカオ豆は、私たちが愛するチョコレートの原料として不可欠ですが、その栽培過程では大きな廃棄物が発生します。特にカカオの実の外殻であるカカオポッドは全体の重さの80％を占めるにもかかわらず、ほとんどが使用されず農地に廃棄されています。この状況は、環境や農家の収入に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

カカオポッドが土壌に戻るには時間がかかり、その間に病原菌が繁殖し、カカオの収量が減少することにもつながります。このため、廃棄されたカカオポッドを有効活用し、適切な方法で処理することが急務です。

加水分解技術の導入

第一次共同研究では、加水分解技術を用いることでカカオポッドを殺菌・粉砕し、これを土壌に散布するという方法が検証されました。ベトナム南部のメコンデルタ地域において、この方法がカカオの苗の成長を促進し、土壌の質を改善することが確認されました。

今後の研究では、カカオ農地に加水分解したカカオポッドを散布し、実際にカカオ豆の収量に及ぼす影響を詳しく調査します。この取り組みを通じて、農業の環境負荷を軽減し、収益を向上させる新たなソリューションを提供することを目指しています。

カントー大学との協力

今回の研究には、ベトナムの国立総合大学であるカントー大学が密接に関わっています。1966年の設立以来、この大学はメコンデルタ地域における農業に関する教育と研究において重要な役割を果たしています。およそ52,414人の学生が在籍するこの大学は、農業分野の専門知識を持つ人材を育成し、地域の発展に寄与しています。

今後の展望

この共同研究は、カカオ産業の環境問題解決に向けた第一歩です。持続可能なカカオ生産を促進し、資源循環型社会の実現に向けて進むことで、農家の収入向上や地域経済の活性化にも寄与することが期待されます。ロッテは、今後もこのような取り組みを通じて社会貢献を続けていくことを約束しています。これからの進展にぜひご注目ください。