宇宙で味わう青果物の挑戦
新たな試みが国際宇宙ステーション(ISS)で展開されます。株式会社ファーマインドが、宇宙での食生活を充実させるために、新鮮な青果物の除菌・梱包を実施しました。この取り組みは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との協力によるもので、宇宙飛行士に健康的な食事を提供することを目的としています。
無限の空間での食事の工夫
長期にわたる宇宙滞在は、宇宙飛行士にさまざまなストレスをもたらします。ファーマインドは、国産の生鮮食品を調達し、これを宇宙空間に届けることによって、彼らが抱えるストレスを軽減しパフォーマンスの向上を目指しています。福岡センターでは、驚くべき清浄度を誇るクリーンルームで、この青果物の除菌と梱包作業が行われました。
安全性を確保する技術
ファーマインドの青果センターでは、国際規格であるISO22000を取得し、食品の安全衛生管理を徹底しています。青果物は、次亜塩素酸水を使用した特殊な除菌プロセスによって、JAXAの基準をクリアするまでに徹底的に除菌されます。これは、宇宙という制約のある環境での食材の安全性を保証するためです。
除菌プロセスの詳細
1.
洗浄: 青果物の表面に付着した微生物や異物を取り除き、次亜塩素酸水のバスに浸します。
2.
基準クリア: JAXAの定める食品1gあたりの一般生菌数1万CFU以下を達成します。
梱包方法の工夫
宇宙への輸送を考慮した梱包は非常に重要です。打ち上げ時の加速度(約5G)や限られたスペースに対応するため、青果物が押しつぶされることなく、もれた果汁が微小重力状態で飛散しないよう工夫されています。以下のステップが取り入れられています。
1.
吸湿紙: 果汁を吸収するために使用。
2.
鮮度保持フィルム: エチレンガスを分解し、果物の劣化を防ぎます。
3.
衝撃吸収: フルーツネットで包み、キズがつかないよう配慮。
4.
ジップ袋: 各果物を個別に納め、サイズに応じた包装を行います。
宇宙に届けられた「光選のふじ〈真の実〉」
搭載された青果物の中には、自社の「光選のふじ〈真の実〉」も含まれています。このシリーズは、特に甘さ、品質、鮮度にこだわっており、高い栄養価を持っています。葉をはがさず育てる「葉とらず栽培」により、より多くの光を受けて美味しい果実が育ちます。また、厳しい品質管理を行い、収穫後すぐに冷蔵保管することで、新鮮さを保っています。
企業理念に基づく持続可能な取り組み
ファーマインドは生産者と消費者を結びつけることを理念に掲げています。コールドチェーンネットワークを活用し、青果物の供給体制を強化することで、持続可能な青果流通の発展に寄与し続けることを誓っています。今回の取り組みもその一環であり、宇宙という特異な空間での食事が、いかに安全かつ美味しく提供されるかを示す良い例です。
宇宙空間で味わう新鮮な青果物は、単なる食材ではなく、宇宙飛行士の心と体を支える重要な存在です。今後もファーマインドの取り組みに期待しましょう。