向井山朋子が挑む新作パフォーマンス、身体の自己決定権を問う
2026年3月、京都芸術センターにて、向井山朋子の新作パフォーマンス『向井山朋子WE ARE THE HOUSE:パフォーマンス』が世界初演されます。この作品は、身体の自己決定権に関する重要な問題を掘り下げ、中絶、#MeToo運動、クィア、家族、家父長制といった現代の課題をテーマにしています。「私の身体は、私のもの」という根源的な問いを舞台芸術として表現することで、観客に新たな視点を提供しようとしています。
アートとアクティビズムの交差点
新作パフォーマンスは、アートと社会運動の交差点に位置しています。向井山朋子とオランダの俳優・演出家ユスト・ファン・ボメルが中心となり、国際的な共同制作を行っています。観客は、対話、映像、音楽、身体表現といった要素を通じて、複雑なテーマを多角的に体感することができるでしょう。
特に、ユスト・ファン・ボメルが演じるレベッカ・ゴンバーツは、中絶問題改善に取り組む国際的な活動家であり、彼女の存在は作品にさらなる深みを与えています。また、レクチャー部分は山田由梨が担当し、アートと社会運動が交差する特別な体験を提供します。
議論から生まれた舞台作品
このパフォーマンスは、2025年5月に開催された対話型プログラム『WE ARE THE HOUSE: パフォーマンス』に端を発しています。当時は、オランダのアーティストや研究者と共に、身体の自己決定権に関する問題について深く議論が交わされました。その中で浮かび上がったテーマは、中絶に関する制度やアクセス、#MeToo運動、クィア・フェミニズム、家族観、そして家父長制といった社会的課題です。
参加者たちは、それぞれの体験や視点を持ち寄り、10日間のサロン形式で密な対話を展開しました。この議論の蓄積が、作品の基盤となり、現代社会が直面する課題を舞台芸術として再構築することを目指しています。
パフォーマンスの詳細情報
新作パフォーマンスの上演は、2026年3月21日(土)18:00、3月22日(日)14:00に実施され、上演時間は約60分を予定しています。会場は、京都芸術センターの講堂で、一般料金は4,000円、U30フリーが3,500円、U18が2,000円と設定されています。
向井山朋子は、国際的な舞台芸術の世界で活躍するアーティストです。1991年に日本人ピアニストとして初めて国際ガウデアムス演奏家コンクールで優勝し、以降、女性性や身体の主権、境界などをテーマにした作品を発表しています。作品は、国際的な劇場や美術館、さらには個人の住宅や寺院など、多様な場所で展開されてきました。
京都芸術センターの役割
京都芸術センターは、京都における芸術文化の振興を目的に設立され、多様なアーティストの制作を支援しています。このプロジェクトは、国際的なクリエーションが京都で始まる意義を強調しており、今後の巡回公演で世界各地へそのメッセージを届けることが期待されています。アートは、社会を映し出す鏡として機能し、私たちにとって喫緊の課題への理解を深める貴重な機会となっています。