パン酵母由来酵母細胞壁の満腹感を高める効果とは
アサヒグループ食品株式会社では、パン酵母由来の酵母細胞壁(以下、酵母細胞壁)が満腹感を増強し、消化管ホルモンの「グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」の分泌を促進することを確認しました。この研究成果は、2025年に開催される日本食品科学工学会で発表される予定です。満腹感は食事の調整において非常に重要な要素であり、酵母細胞壁の摂取がこの感覚を強化することが期待されます。
研究の背景
アサヒグループは、酵母エキスの製造過程で得られる副産物である酵母細胞壁の有効活用に向け、多様な機能性研究を行っています。酵母細胞壁には、タンパク質や食物繊維の一種であるグルカンやマンナンが含まれており、これが満腹感に寄与することが過去の研究で明らかになっています。特に、大麦由来のβ-グルカンが満腹感を持続させ、GLP-1の分泌を増加させることが報告されたことが、今回の研究のベースになっています。
研究方法
この研究では、日本人の健常な成人男女12人を対象に、二つのグループに分かれて摂取実験を行いました。1つ目は酵母細胞壁を含まないプラセボ飲料を摂取する群、2つ目は酵母細胞壁を含む飲料を摂取する群です。参加者には試験食品を摂取した後、4時間の間に満腹感や食欲に関する変化を、視覚的アナログスケール(VAS)で測定し、また血液中のGLP-1濃度も測定しました。
研究結果
結果として、酵母細胞壁を摂取したグループ(YCW摂取群)は、プラセボグループと比較して、摂取後30分から60分の間において満腹感が増加したことが確認されました。また、血中のGLP-1濃度も、YCW摂取群では摂取60分後から増加し、90分から240分の間で有意に高まる傾向を示しました。このことから、酵母細胞壁が満腹感を高め、GLP-1を分泌させる効果があることが示されています。
今後の展望
今回の研究では、単回摂取の効果が確認されましたが、今後は長期的な摂取がもたらす身体における代謝機構やメカニズムの解明を目指して、より深く研究を進めていく予定です。酵母細胞壁の健康効果に関する研究が進むことで、肥満や糖尿病のリスクを低減させる新たな健康食品の開発が期待されます。
用語解説
1.
VASアンケート:満腹感のような感覚を数値で評価する方法。
2.
消化管ホルモン:消化液の分泌や腸の動きを調節する役割を持つ。
3.
GLP-1:食事後に腸から分泌され、満腹感を増す役割を持つホルモン。
参考文献
日本食品科学工学会で行われた研究内容を基に、今後も酵母の健康効果を探求して参ります。アサヒグループは、酵母を通じて人々の健康に貢献するための取り組みを続けていきます。