羽生善治の挑戦と心の葛藤を描いた傑作、将棋ペンクラブ大賞を受賞！

羽生善治の挑戦と心の葛藤を描いた傑作

最近、鈴木忠平著の『いまだ成らず羽生善治の譜』が第37回「将棋ペンクラブ大賞」を受賞しました。この本は、羽生善治九段という将棋界のレジェンドが、若手棋士たちとの対局において体験した多くの試練や勝利、さらには葛藤を描いたノンフィクションです。著者鈴木さんは、以前よりさまざまな賞を受賞している実力派のノンフィクション作家です。

将棋ペンクラブ大賞とは

「将棋ペンクラブ大賞」とは、年間に発表された将棋に関係する書籍や記事の中から優れた作品に贈られる賞であり、特に文芸部門はその中でも注目されるカテゴリーです。本書は、昨年5月に発売されたばかりで、その優れた内容が評価され、正式に受賞するに至りました。

羽生善治の生き様

羽生九段の強さの秘訣は、ただ単に盤上での技術や戦略だけではありません。その裏には、勝利の喜びと共に、敗北の痛みを受け止める心の強さがあります。棋士という職業は、勝ち負けが如実に結果に反映される厳しい世界です。「負けました」と言わざるを得ない状況が多々ある中で、彼らはどのようにして次の一手を考え、進んでいくのか。この本は、そんな羽生九段を中心に語られる、棋士たちの内面的な葛藤や成長を鮮やかに描いています。

著者鈴木忠平の受賞コメント

「いまだ成らず羽生善治の譜」を受賞された鈴木忠平さんは、受賞コメントの中で、「棋士の世界には、逃げ場のない厳しさがある。その美しさを表現できればと思った」と語っています。もともと将棋の知識があまりなかった鈴木さんですが、将棋界の方々の協力を得て一つの作品を作り上げたことを感謝しているそうです。

受賞の背景

鈴木忠平さんは、これまでにも多くのノンフィクション作品を手がけており、過去には『嫌われた監督落合博満は中日をどう変えたのか』で数々の賞を受賞し、評価を高めてきました。今回の受賞と相まって、彼の作品はますます注目されています。将棋の知識が浅かった著者が、どのようにして深い理解を得て作品を作り上げたのか、その過程も興味深いところです。

本書の魅力

本書には、羽生九段以外にも米長邦雄、豊島将之、藤井聡太といった名棋士も登場し、それぞれの生き様が交錯します。棋士たちの背景や彼らの戦いを通じて、将棋の魅力が伝わります。

さらに、将棋がどれだけ多くの人々に影響を与えているかが描かれており、子供たちが将棋に興味を持つきっかけにもなるのかもしれません。棋士たちの対局を通じて、人間の美しさや情熱が伝わる本書をぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。