インドネシアのリュウガン産業を牽引する「New Crystal」の未来
インドネシア・ジョグジャカルタから、リュウガン産業を新たな高みへと導くための挑戦が始まっています。APKM(独立リュウガン農家協会)の会長、アフマッド・ジャナン氏を訪問したのは、スペースシードホールディングスの鈴木健吾代表取締役と、PT Awinaのアナンダ・セティヨ・イバンナント氏です。彼らは、国産改良品種「New Crystal」に注目し、地域の産業振興に向けて意見を交わしました。
「New Crystal」は、可食部が大きく、甘みが強いリュウガンの品種として、農家にとって非常に魅力的な選択肢となっています。インドネシア国内でのリュウガンの需要は年間約700万トンに達している一方、実際の生産は100万トン未満にとどまっており、輸入も多く行われています。安定した価格もあり、リュウガンは今後も農家にとって高い収益性をもたらすと言われています。
「New Crystal」が持つ特性は、強健な地場台木と高品質果実の穂木を融合させたことで、高収量を実現する点にあります。定植から約2.5年で初収穫を迎え、増収も期待できるため、投資対効果も優れています。具体的には、初回は20~30キロ、2回目は30~50キロ、3回目に40~70キロと推定されており、2回目の収穫で損益分岐点に達します。
討議の要点
このような背景の中、APKMと協力して以下のような具体的な施策が議論されました。
リュウガンの栽培、剪定、摘果、袋掛け、収穫、管理に関するマニュアルを作成し、その実証を行うことが必要です。
アクアポニックスの導入や水田との混植を取り入れることで、より多様な収益を見込むことができます。
APKMの700世帯の農家とのネットワークを活用した研修カリキュラムを共同で設計することで、リュウガン栽培のノウハウを広めることが期待されています。
日本などとの連携を強化し、選別、冷蔵、ロジスティクス、品質規格の整備を進め、輸出の可能性も探ります。
リュウガンの収穫体験や蜜蜂飼養による観光モデルを構築し、地域経済の活性化を図ります。
リュウガンを用いた果実、ジュース、さらには機能性成分の抽出を通じた商品開発が期待されています。
これらの施策を進めることで、リュウガン産業の持続可能な成長を実現し、地域社会にも貢献できるでしょう。
研究方針と今後の展望
スペースシードホールディングスは、リュウガン由来の多糖が持つ機能性評価を通じて、認知機能の改善などの実生活への応用を見据えています。また、灌漑用の貯水タンクやアクアポニックス技術を活用し、管理の効率化を図ります。
このプロジェクトは、インドネシアと日本の連携を深め、持続可能な農業モデルを育てる大きな一歩となるでしょう。今後もスペースシードホールディングスは、現地実証の計画化やパートナー募集、SOPの標準化を進め、適宜進捗を報告する予定です。これにより、リュウガン産業のさらなる可能性が広がることを期待しています。