J-POPが世界を魅了する理由
音楽のスタイルは、常に進化し続けています。今、特に注目を集めているのが日本の音楽、J-POPです。これまで「ガラパゴス」と形容されることもあったこの文化が、なぜ今、国際的に評価されているのでしょうか?
株式会社クロスメディア・パブリッシングより、2025年に出版予定の新刊『音楽ビジネス』では、著者の鈴木貴歩氏がこの問いに深く迫ります。彼はユニバーサルミュージックでの経験を踏まえ、日本音楽の躍進をテクノロジーの視点から解明しています。
コロナ禍がもたらした変化
かつて、J-POPは国内市場に依存していましたが、コロナ禍がその状況を一変させました。ライブ公演の制限により、レーベルは過去の楽曲をストリーミング配信することに注力しました。その結果、多くの日本の楽曲がSpotifyやApple Music上で聴かれるようになり、注目の新世代アーティストが海外リスナーのもとに届くようになったのです。
当時、YOASOBIの「夜に駆ける」や藤井風、Adoのような新しい才能が現れたことに加え、竹内まりやや山下達郎といったシティポップも再評価されました。これらのアーティストたちはSNSやアルゴリズムの力を利用して、国境を超えた人気を得ています。
ヒットの定義の変化
音楽業界の中でヒットの基準が変わりつつあります。かつては「ミリオンセラー」が象徴でしたが、今では「ビリオンストリーム」が新たな指標となりました。ストリーミングサービスの普及により、音楽は一度きりの消費ではなく、リピートされる文化へと変貌しています。リリース後も聴かれ続ける曲が増加し、再生回数がビジネスの重要な収益源となっているのです。
鈴木氏の本書では、その具体的な変遷と新たなビジネスモデルについて解説しています。特に、日本のアーティストがグローバルな舞台で成功するために必要な要素として、この「ビリオンストリーム」をどう活用すべきかに焦点が当たっています。
テクノロジーが変革をもたらす
最近では、DTMやAI作曲ツールが普及することで、誰もが質の高い音楽を制作できる環境が整っています。加えて、アルゴリズムやプレイリスト戦略がアーティストの発見や人気の決め手となっています。また、TikTokは新曲の拡散だけでなく、過去の楽曲を再び注目させる場としても重要な役割を果たしています。
こうしたテクノロジーの進化こそが、日本の音楽が世界に向けて発信される基盤を築く要因となっているのです。鈴木氏はこのプロセスを詳細に描き出し、どのようにすれば日本の音楽がさらなるステップアップを遂げるかを提案します。
誰に読んでほしいのか
本書は、音楽業界で働くビジネスパーソンや、音楽への情熱を持つ方々にとって格好の一冊です。コンテンツ産業に進出を考えているビジネスパーソン、多様なジャンルのミュージシャン、さらには音楽を愛するすべての人々に読んでいただきたい内容となっています。
書籍情報
- - 書名: 音楽ビジネス
- - 著者: 鈴木貴歩
- - 価格: 1,848円(税込)
- - ページ数: 256ページ
- - 発売日: 2025年10月17日
日本の音楽が今、熱い注目を集めている理由を探る本書。ミュージックビジネスの最前線にいる著者が、いかにして成功の原則を見出し、日本の音楽が国際的に受け入れられるのかを読み解いています。