KERA CROSS第六弾『消失』が東京で開幕！新たな感動が舞台に宿る

KERA CROSS 第六弾『消失』開幕！

2025年1月18日、新宿の紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、待望の演劇シリーズ《KERA CROSS》第六弾『消失』が開幕しました。この作品は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ（KERA）の過去の戯曲を、異なる演出家が新たに上演するというプロジェクトの一部です。KERAの劇団、ナイロン100℃にとっても特に親しみのある作品で、2004年の初演以来、多くの再演を重ねています。

今回の演出を手掛けたのは、河原雅彦。彼はこれまでにもKERAの作品で印象的な演出を行い、観客の心を掴んできました。『消失』はクリスマスの夜、無邪気な兄弟の家に訪れた6人の“善意”が様々なかけ違いを引き起こし、彼らの日常が次第に破滅へと向かっていく様子を描いています。

キャストには、藤井隆が兄・チャズ役を、入野自由が弟・スタンリー役を演じる他、岡本圭人や坪倉由幸、佐藤仁美など、才能溢れるアクターが揃っています。各々の役者はKERAの独特な台詞を駆使しながら、コメディ要素と恐怖が絶妙に織り交ぜられた魅力的な演技を披露しています。

河原の演出により、作品はまるでモノクロからカラフルな映像へと変化を遂げたようです。この視覚的な変化は、まるで物語の登場人物たちが抱える感情の温かさや愛情を観客に伝えるために精巧に設計されたかのようです。特に、現代の社会情勢が影響しているのか、物語の中に現れるディストピアが非常に身近に感じられ、観客の心に深く訴えかけます。

開幕にあたって、演出の河原雅彦は非常に重厚感のある仕上がりとなったことを報告しつつ、劇場での体験を楽しんでもらうべく、コメディ要素もふんだんに盛り込まれていることを強調しました。また、兄弟役の藤井隆と入野自由は、それぞれの緊張感や作品に対する思いを表現しています。特に、藤井は初演・再演を熱心に支持している観客に対する恩返しの思いを述べ、入野はKERA作品に挑戦できた幸せを語っています。

音楽や舞台美術、照明、衣装などの各セクションが見事に統合され、期待以上のロマンティックなエンターテインメントに昇華されました。特に、KERAの作品特有のユーモアと恐怖が同居する表現は、幽玄さを持ちながら現代的な感覚を取り入れています。また、最近の映画監督デイヴィッド・リンチの影響を取り込んだ点も作品に新たな深みを与えています。

『消失』は東京公演が2月2日まで続き、その後は大阪のサンケイホールブリーゼにて2月6日・7日に上演されます。公演の当日券は毎公演の開演1時間前から販売されるので、興味のある方はぜひ劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか？

KERA CROSS第六弾『消失』は、演劇ファンにはたまらない、観る価値ある作品です。劇場でこの作品に触れ、笑いと涙、そして恐怖の交錯をリアルに体験してみてください。