ビール大麦栽培におけるバイオ炭施用の効果と将来展望
キリンホールディングス株式会社の飲料未来研究所が、栃木県農業総合研究センター及び学校法人早稲田大学との共同研究により、ビール大麦試験圃場にバイオ炭を施用することで、温室効果ガス(GHG)排出量の削減と生産性向上を両立できる可能性を明らかにしました。2024年10月から始まったこの研究では、もみ殻由来のバイオ炭の影響を多角的に評価し、持続可能な農業技術の進展が期待されています。
研究の背景と目的
ビール大麦の栽培には、GHGが多く排出されるという環境問題がついて回ります。そのため、省エネルギーや環境保護が求められる中、農業における排出量削減技術が必要とされています。そこで、キリンホールディングスは、土壌改良と脱炭素を同時に実現する手段として、バイオ炭に注目しました。バイオ炭は、農業のサステナビリティを向上させるための有望な材料として、多くの研究が進められています。
研究方法と結果
この研究では、もみ殻由来のバイオ炭を100~500kg/10aの範囲で施用し、以下の観点から評価を行いました:
1.
物理的・化学的効果: バイオ炭施用による炭素固定量は約0.1~0.5t-CO₂/10aと推定され、GHG排出量の削減に寄与することが示されました。土壌中の炭素量が増加し、栄養分の可給態リン酸や交換性カリウムが増加しました。さらに、有効水分や透水性が改善され、収量も最大11%の増加傾向が確認されました。
2.
生物学的効果: 特定の細菌や真菌がバイオ炭施用によって相対的に増加し、これらは植物生育において重要な役割を果たすことが知られています。これにより、土壌生物のバランスが改善され、持続可能な土壌肥沃度の維持が期待されます。
3.
麦芽品質・醸造品質の評価: 収穫されたビール大麦の品質についても調査され、有意差のある変化は見られませんでした。このことから、バイオ炭施用が品質に悪影響を及ぼさないことが確認されました。
今後の展望
この研究成果は、ビール大麦栽培におけるGHG排出量削減技術の実用化に向けた重要なステップとなる期待が高まっています。今後は、他作物への応用や農地全体での展開を視野に入れ、さらなる検討が進められる予定です。
持続可能な農業への寄与
キリンホールディングスは、産学官連携を通じて、原料生産から製品までのバリューチェーン全体におけるGHG排出量の削減に貢献することを目指しています。また、自然の恵みを原材料とし、未来へとつなぐための取り組みを進めています。豊かな地球環境のために、キリングループは今後も積極的な活動を行っていくでしょう。
このような研究は、私たちの生活に直結する問題を解決するだけでなく、次世代へと続く持続可能な未来を築くための大きな一歩であると言えます。