日本の伝統酒文化「クラフトサケ」に再挑戦する天郷醸造所の物語

日本の酒文化を再生させる新たな挑戦

福岡県田川郡福智町に新しく誕生する「天郷醸造所」は、クラフトサケにかける男の思いが詰まったプロジェクトです。起業家の中山雄介さんは、酒造りを通して地元の魅力を伝え、世界に日本の酒文化を広めようという挑戦をされており、その姿勢は多くの人々の共感を呼んでいます。

「ゼロからの酒蔵建設」

「クラウドファンディングをスタートし、あっという間に目標金額を達成することができました。それは、様々な不安や葛藤を抱える中で、多くの方々の応援があったからこそ」と中山氏は語ります。彼が感じた孤独と戦いながらも、支援者の声が力になり、無事にプロジェクトを完遂できたことに心から感謝しています。この酒蔵は単なる個人的な夢ではなく、多くの人々と作り上げる共同の場所であると、強く信じています。

地域への愛と日本酒業界の再興

福智町には豊かな自然が溢れています。天郷醸造所では、地元の稲作をサポートし、地域振興にも貢献することを目指しています。中山氏は、日本酒の伝統と技術を活かしつつ、現代のニーズに合った新しいサケ造りにチャレンジしています。クラフトサケは、地域の資源を最大限に生かし、無農薬栽培で育てた米を使用。さらに、福智町の恵みを受けた独自の風味を持つお酒づくりをしています。

新たな日本酒を求めて

日本の酒造りはユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的に評価が高まっていますが、国内市場は縮小しています。この状況を逆転させるため、中山氏は根本からの「再興」を目指し、日本人らしい文化や精神性を再発見し、それをお酒に込めていくことを計画しています。

「この酒造りは古き良き日本の伝統をしっかりと受け継いでいくことが大切だと思います。稲作や神事、そして人々が集い、飲み食いすることで得られる温かいコミュニティ。この習慣が再び息を吹き返すことを期待しています」と話す中山氏。日本人の誇りを取り戻し、より多くの人々にその魅力を届けることが、彼の使命です。

こだわりの素材と醸造法

天郷醸造所が目指すのは、「在る」という日本語の持つ深い意味を表現したサケです。美味しいお酒を作るためには、原材料にこだわります。福岡県産の山田錦や地元の農家が育てたヒノヒカリを使用し、さらに蔵がある福智町の豊かな水を使います。この水はミネラルが豊富で、酒の発酵を助ける質の良い水です。

また、福智町で栽培された無農薬の果物やハーブを副原料に使用することで、特有の味わいを持たせています。手間暇をかけた素材選びが、サケの完成度を引き上げるのです。