防災の日に行われたサンコーの防災トイレ勉強会
2025年9月1日、防災の日を迎えて、株式会社サンコーが主催した初の「防災トイレ勉強会」が開催されました。和歌山県に本社を置くサンコーは、掃除や防災、ペット用品を手がける企業であり、生活サポート用品の製造から販売までを一貫して行っています。この勉強会は、能登半島地震を背景に、トイレ不足という深刻な問題に焦点を当てた内容で行われました。
能登半島地震の教訓
能登半島地震では、避難所におけるトイレの不足が深刻な問題として浮き彫りになりました。多くの排泄物が溜まり、避難所のスタッフは段ボールで対処せざるを得ないという事態も発生しました。特に高齢者や女性、子どもたちなど「トイレ弱者」にとっては、深刻な状況でした。被災者からは「水や食料よりもトイレが困った」という声が寄せられ、多くの人々がこの問題の重要性を再認識するきっかけとなりました。
トイレ備蓄の現状
日本トイレ協会の調査によると、懐中電灯や水の備蓄率が67.5%、63.4%であるのに対し、災害時用のトイレは28.8%にとどまっています。また、一人あたり35回分のトイレ備蓄が推奨されているにも関わらず、実際には半数以上の家庭が19回分以下の備蓄しか行なっていないという現実があります。このように、トイレの備蓄に関する意識は依然として低いことが明らかになりました。
災害時備蓄の重要性
勉強会では、災害時のトイレの重要性と備蓄の実体について説明されました。特に、東日本大震災を契機に備蓄を始める家庭が多く、災害はいつ起こるかわからないため、事前の備えの重要性が強調されました。勉強会では、簡易トイレや凝固剤の使い方の実演も行われ、参加者は実際に体験しながら学ぶことができました。
サンコーの取り組み
サンコーの防災トイレには携帯型や組み立て式など34種類があり、一部の商品は抗菌・消臭機能を備えています。特に高齢者にも使いやすい設計で、多くの人に対応できるよう配慮されています。さらに、2023年から2024年の間に約80万個の防災用品が販売されており、災害現場のニーズを反映した商品開発にも力を入れています。
また、サンコーは地域ごとに防災備蓄の「ダム」を構築し、迅速な物資供給ネットワークを築く努力をしており、社員の防災士資格取得を支援するなど、地域での防災啓発活動も行っています。「備えはモノから心へ」を合言葉に、社会全体の防災意識が高まることを目指しています。
さいごに
防災の日に開催された今回の勉強会は、災害時に特に見落とされがちなトイレの問題を社会に問いかける良い機会となりました。サンコーは今後も防災トイレの普及と備蓄に関する正しい知識の啓発を進め、「誰もがトイレで困ることのない社会」の実現を目指しています。私たち一人ひとりも、自分自身や大切な人を守るために、備えについて考えてみることが大切です。