ミラースキン2.0の革新:究極のテーラーメイド化粧品の未来
ポーラ・オルビスグループの研究と開発が進む中、ポーラ化成工業株式会社が新しい化粧品技術の進展を報告しました。彼らの取り組みの中心には、「ミラースキン」という革新的な皮膚モデルがあります。この技術は、一人ひとりの皮膚の特性に基づいたテーラーメイド化粧品の開発を目指しています。
この度、ポーラ化成工業の研究チームはミラースキンを進化させ、より本物の皮膚に近い構造を持つ「ミラースキン2.0」を発表しました。2025年9月、フランス・カンヌで開催される第35回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会において、同チームはこの成果をポスター発表する予定です。
ミラースキンの進化
ミラースキンは、一人ひとりの細胞から作られるiPS細胞を用いて、リアルに皮膚を再現することができる技術です。2024年のIFSCC世界大会では、ミラースキンが紫外線への反応が提供者の肌と相関関係にあることを示し、最優秀ポスター賞を受賞しました。
しかし、この技術には課題が存在しました。従来のミラースキンは球状で、そのため化粧品成分を表皮側から塗布する際に使いにくいという問題があったのです。この課題を解決すべく、研究者はミラースキンの平面化に挑戦し、見事に成功を収めました。
ミラースキン2.0の特徴
進化したミラースキン2.0は、平面構造を持つことで、本物のヒト皮膚の幾つかの機能を忠実に再現しています。具体的には、表皮・真皮・皮下脂肪の3層から成り立っており、さらに皮膚の色素を作るメラノサイトや毛包も含まれています。この新しいモデルは、化粧品のパーソナライズ化を進化させ、皮膚科学の研究にも新たな可能性をもたらすと期待されています。
海を越えた国際的な学会での発表が控える中、ポーラ化成工業の研究チームは、ミラースキンを皮膚科学のコア技術としてさらに発展させていく意向を示しています。研究者が述べたように、ミラースキンを用いることで個々人の肌の特性を理解し、その悩みの原因や改善策を探ることができるのです。
未来に向けた展望
今後、ミラースキン2.0がもたらす恩恵は、化粧品の評価方法に革命をもたらすかもしれません。バリア機能を持つこのモデルは、化粧品の浸透性を試験する際に有効な手段として期待されており、さまざまな分野での応用が可能です。特に、ミラースキンはその構造的な特徴から、皮膚に関連したさまざまな研究を促進する要素ともなります。
タイトジャンクションという細胞間の結合が、外部からの刺激物の侵入を防ぐ役割を果たしていることが確認され、その機能性も証明されました。今後の研究において、ミラースキン2.0がこれまでに発見されていない新たな皮膚特性を明らかにしてくれることが期待されます。
ポーラ化成工業の新たな挑戦は、個々人の肌を理解し、そのニーズに応える革新的な化粧品を生み出す未来へとつながっています。ファッションや美しさの新しいスタンダードを創出するこの技術に、ますます目が離せません。