年齢を前向きに受け止めるための新たな視点 - セルフエイジズム調査から見える健康意識

セルフエイジズム調査からの気づき

加齢に対する偏見ともいえる「セルフエイジズム」は、近年、私たちの心や暮らしにどのように影響を及ぼしているのでしょうか。キューサイ株式会社が実施した全国約9,000人を対象にした調査によると、実に73％の人々が「いい歳して」と言った経験や、他者からそう思われるような言動をしたことがあると答えています。この結果は、年齢を重ねることに対するネガティブな思考がいかに私たちの自己評価や生活に影響を与えているかを明らかにしています。

セルフエイジズムの実態

調査では、特に女性が強くこの影響を受けやすいことが示されています。女性の76.2%がセルフエイジズムを感じたことがあると回答し、男性の69.8%を上回りました。具体的な場面としては、体力や健康の衰えを実感した時が最も多く、男女ともにその傾向が見られました。特に女性は外見の変化に対する感じ方が顕著で、「自身の外見の変化を感じた時」の回答率は45.9%と高く、男性の24.4%と比較して21.5%の差が見られることからも、より強い不安を抱えていることが伺えます。

セルフエイジズムの影響要因

調査の結果、セルフエイジズムに対する要因として、男女ともに「身体的な衰えや健康問題」が最も多く挙げられましたが、その他にも男性は「他人との比較」を、女性は「老いに対する不安や恐れ」に影響を受けやすい傾向にあります。これは、性別による心理的な差異を如実に示す結果となっています。

健康意識の向上

さらに興味深いことに、セルフエイジズムを経験した人々は、10年後の自身の健康状態について具体的に想像できる傾向が強いことが判明しました。経験者の44.1%が将来の健康状態を思い描けると回答したのに対し、未経験者は36.3%にとどまりました。このことは、セルフエイジズムが必ずしもネガティブに働くのではなく、むしろ自身の健康について深く考えさせるきっかけとなり得るという重要な洞察を提供しています。

セルフエイジズムをきっかけに

これまでの調査結果は、セルフエイジズムが私たちに健康について考えさせ、前向きな行動に繋がる可能性を示唆しています。年齢を重ねることに対する偏見や不安を、どう捉え、どう克服していくかが、豊かで幸せな生活を送るためのカギとなります。これまでの経験を活かし、ウェルエイジングを実現するために、私たちはどのように行動すればよいのでしょうか。

セルフエイジズム脱却プロジェクト

日本における加齢への偏見をなくし、ポジティブな視点を持つことを促進するため、立ち上げられた「セルフエイジズム脱却プロジェクト」では、加齢に伴う多くの利点に目を向け、豊かな生活を実現するための取り組みが行われております。このプロジェクトを通じて、誰もが自分の年齢を誇りに思い、ウェルエイジングな生き方を楽しむことができる社会を目指しているのです。

今回の調査結果やプロジェクトの進展を通じて、セルフエイジズムの理解が深まり、年齢を重ねることへの不安を和らげ、自身の健康を見つめ直すきっかけとなることを期待します。私たちひとりひとりが自分の年齢や健康について、前向きな気持ちで向き合うことができれば、より豊かな生活を築いていけるでしょう。