沖縄の伝統楽器・三線文化継承の新たな一歩
沖縄の歴史と文化を深く象徴する伝統楽器、三線。近年、その製造や流通において様々な課題が浮き彫りになっています。これらの問題に対処し、三線文化を未来に繋げるため、ヤマハ株式会社を中心にした「沖縄三線文化継承プロジェクト」が、公益社団法人企業メセナ協議会が審査・認定するメセナ活動「This is MECENAT 2025」に選ばれました。
プロジェクトの概要
このプロジェクトは、沖縄県の三線製作事業協同組合や琉球大学、沖縄県立芸術大学、沖縄県立博物館・美術館、東京文化財研究所など多様な専門機関が協力し、共に研究を進めています。目的は、三線に関する各種課題を科学的に解決し、文化の継承を図ること。この活動の中では、「モノ(楽器)」と「ヒト(感性)」を研究対象とし、専門家が協力して研究を推進することで、三線文化の未来を共に創造することを目指しています。
This is MECENATについて
「This is MECENAT」は企業が行うメセナ活動を認定する制度であり、芸術文化の振興を通じて豊かな社会を築く活動を評価しています。2014年のスタート以降、メセナは芸術文化支援の枠を超え、環境や福祉、地域活性化といった広範な社会課題に取り組むものへと進化しています。認定された活動には「メセナマーク」が発行され、社外でも情報発信が行われます。
沖縄三線の文化継承を目指す取り組み
沖縄の三線文化は、技術者不足や材料である黒檀の供給減少といった多くの課題に直面しています。三線製作事業協同組合は、これらの問題を解決するために本プロジェクトを立ち上げ、ヤマハは2023年から研究や技術提供に関与しています。
2025年度計画と研究テーマ
本プロジェクトは研究だけでなく、社会実装に重点を置いています。今年度は以下の2つのテーマに取り組む予定です。
1.
新素材での三線パーツ製作試み
新素材を用いた三線パーツの制作に取り組みます。材料枯渇問題の解決を目指し、職人技能の継承にもつながる意義深い試みです。
2.
レクチャーコンサートの開催
三線や沖縄の伝統文化の魅力を広めるレクチャーコンサートを企画しています。実演を通じて文化への理解を深め、プロジェクトの重要性を発信する機会となるでしょう。
これまでの主な研究活動
プロジェクトの今までの研究活動には以下の3つがあります。
1.
木材の物性調査
黒檀の代替木材の確保と音響的な特性の分析。
2.
三線の挙動可視化
三線の製作技能を科学的に分析し、製作基準の確立を目指す。
3.
音色の表現語調査
演奏家と職人が用いる多様な表現を結びつけ、コミュニケーションツールを作成。
これらの研究を通じて、三線の文化を守るだけでなく、持続的な発展を促進していくことが期待されています。
今後に向けての展望
今後、このプロジェクトを通じて得られる知識や経験は、地域文化の保護とその価値の伝承に大きく寄与することでしょう。ヤマハは社会や文化の持続的な発展に向けた取り組みを引き続き推進し、未来の世代に沖縄の三線文化が継承されるよう尽力していきます。
詳しくは
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