2024年下期におけるファッション業界の顧客満足度調査
ファッション業界は常に変化し続けており、顧客の期待に応えるための努力が求められています。ワールド・モード・ホールディングス株式会社が実施した「SEEP」(シープ)調査は、2024年9月の顧客満足度の結果を基に、業界の現状と今後の展望を示しています。本記事では、その結果を詳しく紹介し、どのようにファッションブランドが顧客の期待に応えられるかを考察します。
SEEP調査の内容と取り組み
毎年2回、全国のファッションブランドを対象に、店舗での顧客満足度を測定するSEEP調査は、ラグジュアリーからカジュアルまで広範なジャンルをカバーしています。この調査は、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の主要都市で実施され、各ブランドの顧客対応の質を厳しく評価しています。調査項目は、接客プロセスのそれぞれの場面に基づき、アプローチからクロージングまでを分析。その結果を点数化し、明確に数字で示すことで、各ブランドがどの点で改善が可能かを浮き彫りにしています。
SEEP調査の特徴
SEEPの特徴は、選ばれるモニターが実際の消費者に近い点です。約30万人のiDAの登録者から、ファッションやコスメに関心を持つ人々を調査員として選出し、多角的な視点から接客を評価。また、調査は店長経験者の知見を活かし、現場で見落とされがちな接客姿勢の分析にも力を入れています。信頼性の高い結果を得るために、複数の調査員がそれぞれ独立した視点で評価を行っています。
2024年下期の顧客満足度の傾向
2024年下期の全国調査結果は、100点満点中63点という結果でした。これは前回の調査と同スコアですが、過去の調査から大きな低下を示したため、顧客満足度は依然として低迷しています。特に、インバウンド客の数は多いものの、売上の伸び率が鈍化している点が懸念材料です。
コロナ禍以前の隆盛を思うと、今や国内顧客とインバウンド顧客双方のニーズに合った接客が求められている状況です。この二つの視点を重視することで、店舗の運営やブランドの経営は持続的な成長につながると考えられています。
カテゴリー別の傾向
ラグジュアリーとアフォーダブルラグジュアリー
両カテゴリーは同時に点数が低下していますが、特にラグジュアリーのカテゴリーにおいては、アプローチシーンでの顧客対応が目立って低迷しています。アフォーダブルラグジュアリーでは、来店したお客様への対応がまだ改善の余地があると言えるでしょう。
スポーツブランド
スポーツブランドの競争が激化している中で、セルフ店舗の増加が観られます。接客が「声をかけない方が良い」とされがちな現状を打破し、笑顔での接客を心がけることが重要です。
トレンドカジュアル
トレンドカジュアルでは、入店時の基本的な顧客アクションの改善が見受けられます。挨拶や要望のヒアリングが充実しており、さらなる再来店の促しを行うことで、顧客満足度の向上が期待されます。
今後の方向性と提案
今後は、インバウンド客の属性が多様化しつつあり、特に購買行動が経験重視へと変遷しています。日本文化への興味は高まっており、関連商品が人気を集めています。したがって、インバウンド需要の急成長は落ち着くことが予想されます。
また、在庫の一元管理を行いながらECと店舗の連携を強化し、店舗を高付加価値なサービスを提供する場とすることが求められています。調査結果を基に課題を認識し、サービス改革を進めることで、顧客満足度を向上させる努力が必要です。
まとめ
SEEP調査からの洞察は、ファッション業界にとって極めて重要な情報源です。店舗接客の向上は、ブランドの競争力を決定する要因の一つであるため、より良い接客を目指した取り組みが今後の発展に繋がることでしょう。私たちは、この調査を通じて得られた情報が、業界の課題発見と解決に役立つことを期待しています。