稲敷市に完成した大規模農園が実現する次世代型イチゴ栽培

次世代イチゴ農園の魅力

茨城県稲敷市に、注目の大規模イチゴ農園が近日中に竣工しました。このプロジェクトは、全国規模でコールドチェーンを展開している株式会社ファーマインドが中心となり、持続可能な農業の新たなモデルを築くことを目指しています。今回竣工したこの農園は、2haの広さを誇り、将来的には4.5haまで拡大予定です。

効率化されたイチゴ生産

この農園の最大の特長は、最新の技術を導入した効率化された生産システムです。特に注目すべきは、上下稼働式のリフティングシステムを採用している点です。このシステムにより、作業していない栽培ベンチを上昇させることで通路を確保し、全体の栽植株数を通常の1.8～2倍に増加させることが可能になります。そのため、イチゴの生産量を大幅に向上させ、安定供給を実現します。また、ベンチの高さ調整が自由に行えるため、作業者の負担も軽減され、作業効率が向上しています。

一貫した生育環境の管理

さらに、稲敷農園は、生育環境を統合的に制御する自動管理システムも導入しています。遮光や保温カーテン、温湯暖房、養液の灌水装置が一元管理され、イチゴに最適な生育環境が整えられています。これにより、イチゴの品質が向上し、生産量の安定化が図られるのです。また、クラウドベースでの遠隔管理も可能で、将来的には蓄積されたデータを活用して栽培にさらなる革新をもたらすことが期待されています。

環境に配慮した農業の実現

持続可能性に配慮した次世代農業を目指す稲敷農園では、省エネ技術も導入されています。例えば、太陽光集熱パネルを利用して温水を生成し、夜間にはこの温水を温湯パイプに流して局所的にイチゴを加温します。これにより、全体を暖めるよりもエネルギー消費を抑えることができ、環境に優しい農業を実現しています。

循環型養液栽培

また、環境負荷の少ない循環型養液栽培を採用しており、肥料と水の無駄を減らすことに成功しています。植物の水分要求に基づいた、自動灌水機能を持ち、廃液は殺菌した後に再利用されるため、持続可能な農業が可能となります。このシステムは、肥料の使用量を減らすだけでなく、環境保護にも寄与しています。

高品質のイチゴを届ける仕組み

収穫したイチゴは、冷蔵庫での予冷を経て、専用の冷蔵トラックに積載されてファーマインド青果センターへ運ばれます。ここでも冷蔵環境が維持され、各店舗へと届けられます。このコールドチェーンネットワークにより、高品質のイチゴが消費者に届けられる仕組みが整っています。

輸出に向けた減農薬栽培

さらに、輸出対応のための減農薬栽培も行われています。国内の流通品とは異なり、海外市場に向けたイチゴは、厳しい残留農薬基準をクリアする必要があります。そのため、専門的な技術を駆使して病害虫の侵入を防ぎつつ、常に安全な生産を行っています。特に、防虫網やエアシャワーを利用したハウス内への外気導入制御が特徴で、作業者がハウスに入る際にも消毒が必須です。