新たなリップメイク自動分類技術の登場
株式会社コーセーが慶應義塾大学の青木義満教授と共同で開発した「教師なし距離学習モデル」は、リップメイクの形状や色に基づいて、画像を自動的に分類する革新的な技術です。従来のモデルでは人間によるどうしても主観が入りがちなラベル付けが求められ、手間やコストがかかる上に、特に少数派のスタイルが見落とされるリスクも存在していました。しかし、この新モデルは、それらの課題を解決することを目指しています。
研究の背景
メイクアップが美しさを追求するだけでなく、個人の表現や社会のトレンドを反映するものとなっている現代。SNSでは日々多くのメイク画像が投稿されつつあり、そのトレンドも瞬く間に変化しています。これらの多様なトレンドを捉えるためには、膨大な画像データを効率的に処理できる自動分類モデルが欠かせません。既存のシステムでは、手動でラベル付けする必要があり、時間がかかり、また主観的な偏見による影響を免れません。そこで、本研究はラベル付けなしに、画像間の相違を認識できるモデルの開発に着手しました。
教師なし距離学習モデルとは?
今回開発された「教師なし距離学習モデル」は、“Makeup transfer”と呼ばれる画像生成の手法を活用し、画像間の類似性を学習します。具体的には、2つの画像から新たな画像を生成し、それを擬似的な類似ペアや非類似ペアとして扱うことで、ラベル付けを必要とせずに、リップメイクの形状と色を明確に分けて学習します。このようにして形成されたモデルは、一般的なサイズやRGB値では表現しにくい“雰囲気レベルの距離”を考慮し、意味的な類似性を捉えることが可能です。
また、実際に大規模な画像データセットを使用し、モデルの精度を検証したところ、従来の教師なし学習モデルを大きく上回る精度を記録。特に、全体のわずか1%にしか見られない少数派スタイルに関しても、非常に高い分類精度を実現することができました。これは、少数派のリップメイクスタイルをしっかりと捉えられるという特長を表しています。
今後の展望
今後、この「教師なし距離学習モデル」は、さらなるメイクアップの分類へも応用が期待されています。また、個々のユーザーに合った美容スタイルを提案するなど、パーソナライズされたアプローチも可能になるでしょう。このように、流動性の高いSNSにおけるトレンド分析や個々のお客さまに適した美容スタイルの発見をサポートすることで、より多くの人々が自らのスタイルを楽しむ手助けをすることを期待しています。これからのリップメイクの未来が楽しみですね!