オートリコの革新—グッドデザイン賞受賞の舞台裏
この度、オーダーニット専門ブランドであるオートリコが、2025年度グッドデザイン賞を受賞しました。この受賞は、単なるプロダクトやビジュアルに留まらず、ブランド全体のビジネスモデルとその革新性が高く評価された結果です。オートリコのようなアパレルブランドが、プロジェクト単位での受賞を果たすのは稀なことであり、ファッションにおける新しいアプローチが注目を浴びています。
オートリコの特徴と理念
オートリコは「今までにないモノづくり」を掲げ、ホールガーメントニットウェアを専門に展開しています。従来の「生産→販売」の流れとは異なり、「受注→生産」という新たな構造を構築することで、必要な分だけの生産が可能になり、資源の無駄を省くサステナブルな運営が実現しています。常時50色以上のカラーバリエーションを保有し、20型から自由に選んでサイズ調整もできるオリジナリティ溢れるカスタマイズが魅力です。
アパレル業界の常識を覆す
アパレル業界では従来、大量生産・大量消費が主流で、多くの企業が供給のために長期間を要する標準的なサプライチェーンを利用しています。しかしこの方式が過剰在庫を生じさせ、廃棄が年々増えている現状を考慮し、オートリコはその思考に疑問を持ちました。
彼らは新しい持続可能な仕組みを模索し、ホールガーメントテクノロジーを用いた自社一貫生産体制を確立しました。この技術は「洋服の3Dプリンター」とも呼ばれ、無縫製の製品を一着ずつ編み上げる画期的なもので、生産リードタイムを従来の半年から1年から約1ヶ月に短縮しました。
デザインと機能の両立
オートリコのプロダクトには、快適性だけではなく、デザイン性と機能性が求められます。例えば、シンプルでありながら立体感のあるミニマルなデザインは、どんなシーンでも活躍する魅力があります。また、オーダーメイドの特性を生かしてボトムスの丈やウエストのサイズを調整できるため、個々の体型や好みに合った商品が提供されます。さらに、使用している素材は国産ポリエステル100%で、発色が良く、家庭で洗濯しやすいのもポイントです。
こだわりのカラーバリエーション
オートリコでは、56色の豊富なカラーバリエーションを提案しています。在庫を持たないことによる強みを活かし、顧客が自らカラーカスタムを楽しむ体験を提供。自社のECサイトでは、カラーシュミレーターやバーチャルフィッティング技術を導入し、オンライン購入時の体験を向上させています。これにより、消費者は選ぶ楽しさを感じつつ、廃棄のない運営モデルを体感できます。
ブランド誕生の背景と未来への挑戦
オートリコの誕生は、代表が業界での経験から「大量生産・大量廃棄」の流れに疑問を持ったことがきっかけでした。新しい仕組みに挑戦する中で、ホールガーメントテクノロジーに出会い、持続可能なものづくりの姿を実現しました。そして、今回の受賞はその努力と革新が高く評価されたものです。審査員からは「工業製品としての洋服づくりに新たな視点を提供」と称賛されています。
これからもオートリコは、持続可能で豊かなファッションの形を探求し続け、私たちの生活に寄り添う服作りを通じて、社会に貢献していくことでしょう。