新たな舞台芸術を創出する「TMTギア」プロジェクトの開始
東京芸術劇場が2024年度から始める革新的なプロジェクト「TMTギア」。このプログラムは、次世代のアート・クリエイターたちに舞台芸術と音楽の可能性を広げるためのサポートを提供することを目的としています。世界に挑戦する新たな才能を育成し、共創の場を提供するこのプロジェクトに選ばれた5名のアート・クリエイターたちを詳しくご紹介します。
クリエイターたちのプロフィール
額田大志(Nukata Masashi)
額田大志は、作曲家、演出家、劇作家として活動する、1992年生まれの若き才能。東京藝術大学在学中に結成したコンテンポラリーポップバンド『東京塩麹』のリーダーとして注目を集め、FUJI ROCK FESITVALにも出演を果たしています。2016年には演劇カンパニー『ヌトミック』を立ち上げ、「上演とは何か」をテーマにした作品を次々と発表。音楽のバックグラウンドを活かし、パフォーミングアーツの新しい地平を切り開く作品を作り続けています。
山崎阿弥(Yamasaki Ami)
次に紹介するのは、声のアーティストであり美術家の山崎阿弥。彼女は自己の声とその響きを通じて空間を感じ取ることに特化しており、エコロケーションに近い手法で音響的な陰影を探求しています。科学者とのコラボレーションを行い、『100年の宇宙 見つめる眼・歌う声』などのプロジェクトで注目を集めています。
布施砂丘彦(Fuse Sakuhiko)
布施砂丘彦は、演奏、批評、イベント企画など、幅広い分野で活動するアーティスト。特にコントラバスの演奏家として、プロオーケストラへの首席客演や即興パフォーマンスでその名を馳せています。また、古楽器の演奏にも力を入れ、アントネッロやバッハ・コレギウム・ジャパンでの活動を通じて、様々な音楽家とのコラボレーションを行っています。
長瀬善則(Nagase Yoshinori)
長瀬は、金融業界から音楽の道へ転身した経歴を持ち、現在コロンビア大学の経営大学院に通う傍ら、ジュリアード音楽院でピアノを学んでいます。多文化な背景を持つ彼の音楽制作は、最新の技術を駆使し、またプロダクションでも業務に従事。音楽の新しい形を模索し続けています。
吉野良祐(Yoshino Ryosuke)
最後に、オペラ演出家の吉野良祐は、気鋭のカンパニーであるNovanta Quattroにおいて多くの演出作品を発表しています。また、中村敬一氏らのアシスタントとしても活躍し、舞台美術や空間構成に関するレクチャーも行うなど、教育者としての側面も持ち合わせています。彼は建築史の研究者としても多くの業績を残しています。
TMTギアプロジェクトの目的
「TMTギア」は、次代のアート・クリエイターたちが未来の舞台芸術の具現化に挑むための「ギア」、すなわち装備や変速装置を身につけ、世界に向けて発信していくことを目指しています。次期芸術監督である岡田利規氏(舞台芸術部門)や山田和樹氏(音楽部門)がメンターとしてサポートし、劇場内外でのクリエイションを促進します。
このプロジェクトはアート・クリエイターだけに留まらず、映像メディアチームや舞台技術スタッフの育成も視野に入れています。アートの未来を切り拓くこのプログラムが、どのように進化していくのか、今からその展開に期待が高まります。
東京から世界へ、アートの新しい波が生まれる瞬間を見逃さないでください。本プロジェクトの詳細は公式サイトでご確認ください。