企業の森林破壊と人権問題を問うRANの最新ランキング
環境NGOであるレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は、2025年に向けた『森林&人権方針ランキング』を発表しました。このランキングは、熱帯林地域での森林破壊と人権侵害のリスクが高い大手消費財企業10社を評価対象に、各社の方針や実施計画を分析したものです。
調査の目的と背景
RANは、企業がサプライチェーンにおいてどれだけ森林破壊や人権侵害に取り組んでいるかを評価しています。特に、パーム油、紙パルプ、大豆、牛肉、カカオ、木材製品など、森林リスクが高い産品が関与している企業が対象です。調査の結果、合格点に値するC評価を得た企業はユニリーバのみで、ほかの企業が直面している課題が明らかになりました。
各社の評価
具体的な評価結果では、ユニリーバがトップを維持し、持続可能性に向けた最も明確な目標を設定しているとされています。他の企業はNDPE(No Deforestation, No Peat, No Exploitation)という方針の遵守においてばらつきが見られ、コルゲート・パーモリーブや花王等一部の企業が中位グループにランクされました。特に日本企業では、花王と日清食品がそれぞれD+、D−の評価を受け、共に昨年よりも得点を上げたものの、依然として改善の余地が大いにある状態です。
人権擁護の重要性
このランキングにおいて注目すべきは、人権擁護者への暴力や脅迫に対するゼロトレランスの方針です。企業が人権擁護者の保護に向けた具体的な行動を示すことは、サプライチェーンにおける信頼性の確立に不可欠です。しかし、現状では企業の取り組みは断片的であり、一貫性に欠けているとRANは指摘しています。
規制と企業の関与
欧州連合が推進する森林破壊防止法(EUDR)の施行を前に、企業は規制の遵守に向けたコミットメントを表明していますが、依然として効果の低い認証制度や供給業者からの自己申告制度に依存しているのが実情です。RANは、企業が積極的に森林保護や人権侵害の防止に取り組むための行動を促進すべく、今後も戦略的に働きかけていく方針です。
消費者へのメッセージ
消費者としても、この問題には注目していく必要があります。私たちが選ぶ製品が森林や人権にどのような影響を与えているかを考えることが求められています。RANは、企業と消費者が協力することで、持続可能な未来を築いていけると信じています。消費者の意識を高めることが、最終的には企業の行動を変える原動力となるのです。
まとめ
今回の調査で大手消費財企業の現状が明らかになりましたが、課題が山積していることも確かです。森林と人権の保護は、企業の責任としてだけではなく、私たち全員の未来に関わる重大な問題です。これからもこの点について注視しながら、持続可能な社会の実現に向けて努力を続ける必要があります。