高温耐性サーモン種苗の革新
海水温の上昇が持続可能な養殖業に新たな挑戦をもたらしています。株式会社Smoltが開発した高温耐性サーモン種苗(サクラマス)は、これまで媚びられてきた水温環境の壁を打破する存在として注目されています。2024年度には、導入企業が10社を超え、国内サーモン養殖の未来を支える重要な技術となっています。
地球温暖化と海水温上昇の影響
気象庁のデータによると、2023年の海面水温は観測史上最高を記録しました。従来、サーモンやトラウトサーモン類は冷水性環境での養殖が必須とされていましたが、海水温が上昇することで適した養殖場所が減少し、生産効率の低下が懸念されています。これに対策する形で、Smoltのサーモン種苗は20℃前後の高温環境でも安定的に育成できる特性を持ち、この全く新しい「サクラマス」が養殖業界に革命をもたらします。
導入企業の現状と展開
2024年度、Smoltのサーモン種苗を導入する企業は増加の一途をたどり、以下のような注目の事例が挙げられます:
- - 髙瀬水産(大分県): さいき桜サーモンとして商品化。
- - 昌陽水産(長崎県): 海面養殖で新ブランド「長崎ゆうこうサーモン」として販売。
- - 服部水産(香川県): 新ライン「百年」シリーズに追加。
- - 九州・四国・本州エリアの8社も導入し、実証養殖が実施されます。
これにより、養殖業者は経済的にも持続可能な成長を見込むことができます。
Smoltの選抜育種技術
株式会社Smoltは、2019年に設立以来、独自の選抜育種技術を用いて、宮崎県において温暖な地域でもサクラマスの海面養殖に成功しています。この技術の特長には、以下のようなポイントがあります:
- - 6世代継続選抜育種: これにより、高温耐性と優れた成長特性を持つ系統を確立。
- - 循環型養殖システム: 淡水・海水を活用した環境適応型の育成方式。
- - 高水温対応: 20℃を超える環境でも安定した養殖を実現。
そんな中、昌陽水産では、過去2年間に赤潮の影響を受けた養殖魚種の代わりとして、Smoltのサーモン種苗を導入し、安定した生産を実現しました。
産業への貢献と未来展望
水産業界誌「養殖ビジネス」における技術紹介により、Smoltは国内サーモン養殖の種苗供給においても期待されています。2025年度にはさらに20社への導入を目指し、技術サポート体制を強化する計画です。また、SDGsの目標達成に向けた取り組みとして、気候変動への対策や持続可能な海面養殖の実現にコミットしています。
パートナーシップのお願い
Smoltでは、サーモン養殖における課題に取り組む事業者や新規事業を検討している企業との協力を募っています。特に、海面養殖事業者や閉鎖循環型養殖システムを導入した企業との連携を歓迎します。
まとめ
Smoltが提供する高温耐性サーモン種苗は、サステナブルな養殖業の未来を支える未曽有の技術であり、これからの水産業界における重要な役割を果たすでしょう。これからも私たちは、持続可能な未来のために、新たなイノベーションを進めていきます。