銀座英國屋が手掛けるサステナブルなスーツリサイクル活動の真実

銀座英國屋は、東京の銀座に拠点を置くオーダースーツ専門店で、2023年で創業80年を超える老舗ブランドです。2015年からは、株式会社JEPLANが運営する「BRING」と提携し、スーツのリサイクル活動を継続しています。この取り組みは、単に古い衣料品を捨てるのではなく、お客様の大切にしてきたスーツに込められた「想い」を繋ぐことを目的としています。毎年、約200着のスーツがリサイクルされ、その背後にはお客様一人一人のストーリーがあります。

お客様の心の声から始まった取り組み

お客様からは「大切なスーツを捨てたくない」という想いが寄せられ、その中にはご家族の思い出や、大切な商談でのエピソードが伺えます。「このスーツを着て初めての商談を成功させた」や「結婚の挨拶に臨んだ一着」といった記憶は、ただの服ではなく、一生に一度の思い出が刻まれています。銀座英國屋は、これらの声に耳を傾け、お客様の気持ちを理解した上で、役目を終えた服に敬意を表し、BRINGと連携したリサイクル活動を進めています。

スーツから自動車の内装材へ

回収されたスーツは、JEPLANのサプライチェーンによってリサイクルされます。特にウール素材のスーツは、「反毛（はんもう）」と呼ばれる手法を通じて新たな資材に生まれ変わり、自動車の内装材などに利用されています。これにより、環境への負担が軽減されるだけでなく、お客様からも「社会貢献になるなら喜んで」と感謝の声が多く寄せられます。

持続可能な企業としての取り組み

ファッション業界における大量廃棄が問題視される中、銀座英國屋はモデルとなるべき存在です。同社の製品廃棄率は0.1%以下であり、一着のスーツを20年以上愛用するお客様もいます。このような高い品質基準は、企業としての責任を持って取り組む姿勢を反映しています。また、3代目社長の小林英毅氏は「人的サステナブル」という視点を提唱し、社員一人一人がやりがいを感じられる職場環境を整えることに注力しています。

社員の成長を支える環境

銀座英國屋は、兼業や分業ではなく、それぞれの専門性を磨ける体制を取っています。その結果、フィッティング専任技術者が高い技術を持つことができ、同時に若手社員の育成も進めています。2024年度の平均年収は525万円と業界標準を上回り、離職率もゼロを達成しています。これは、安心して長く働くことができる環境を提供している証です。

織りなす新たな可能性

銀座英國屋の取り組みは、単なるスーツのリサイクルに留まるものではありません。人間と物資の持続可能なサイクルを創出することで、服のリサイクルや社員の育成の両方を実現しています。このような真の循環型社会の実現に向けて、銀座英國屋はますます進化していくことでしょう。フルオーダースーツを通じて、お客様の信頼を得るだけでなく、次世代に向けた貢献を続ける姿勢には、息を呑む思いがあります。

銀座で80年以上の歴史を誇る銀座英國屋。そこに込められた「想い」と「信頼」が、更なる未来への架け橋になっています。