Spiberがミラノ・ウニカに初登場
日本のバイオテクノロジー企業Spiber株式会社が、イタリア・ミラノで開催される高付加価値テキスタイル見本市「Milano Unica」に初出展します。この展示会では、新たに開発された「Brewed Protein™ファイバー」を用いた生地が紹介され、注目が集まっています。 この革新的な素材は、植物由来の原料を基にした発酵プロセスから生まれています。
コラボレーションの新たな展開
Spiberは、愛知県を拠点に150年以上の歴史を誇る繊維専門商社の瀧定名古屋株式会社とのコラボレーションによって、20種類以上のスーツ用織物生地を展示します。瀧定名古屋は、特に高品質なウール生地で知られ、世界中のブランドから信頼を受けているサプライヤーです。展示されるスーツ生地は、Brewed Protein™ファイバーを10%〜50%含み、ウールやポリエステルと組み合わせることで、多様で魅力的なラインナップが揃っています。
部長代理の田中隆一氏は「Brewed Protein™ファイバーは、細くて上品な風合いを持ち、従来の素材にない独特な光沢感を生み出せる魅力があります。」と語り、持続可能なスーツ生地の開発への期待を寄せています。
A-GIRL'Sとのパートナーシップ
さらに、丸編みニットを得意とする株式会社エイガールズ(A-GIRL'S)とのコラボレーションでは、40種類のBrewed Protein™ファイバーを混紡した生地も展示されます。この素材は、6%から100%の含有率で提供され、非常にソフトで快適な仕上がりになっています。A-GIRL'Sは、これまで120のテキスタイルコレクションを発表しており、その経験と技術が新素材に生かされています。
代表取締役社長の山下智広氏は、「Brewed Protein™ファイバーは新しい調味料のようで、従来の素材とは一線を画す可能性を秘めています。」と説明し、モノづくりの理念に沿って持続可能性を追求することに意欲を示しています。
スポーツ・アパレル界への影響
Spiberは2007年に設立されて以来、15年以上にわたってプロテイン素材の研究を行い、2022年には量産プラントをタイに設立しました。これにより、高性能で持続可能な素材が求められるスポーツやアパレル市場への参入を進めています。これまでには、THE NORTH FACEやA-POC ABLE ISSEY MIYAKEなどのブランドにもBrewed Protein™ファイバーが採用されており、その市場での存在感を高めています。
未来への展望
今後もSpiberは、Brewed Protein™ファイバーのさらなる開発を進め、持続可能な社会への貢献を目指しています。国内外のサプライヤーと連携し、さまざまな用途での展開に取り組む姿勢が評価されています。繊維分野のみならず、医療や食品など新たな分野への進出にも期待が寄せられています。
「Brewed Protein™ファイバー」は、環境への影響を最小限に抑えながら、新しい素材カテゴリーを開拓しています。その品質と持続可能性は、これからのファッション業界に大きな変革をもたらすことでしょう。