研究成果と新しいパーマ技術
近年、株式会社アリミノと日本大学理工学部が共同で実施した研究により、新たなパーマ処理に関する評価手法が確立されました。これまでのパーマ技術は、髪へのダメージを避けることが難しく、そのメカニズムに関する詳細な解析が不足していました。
この新たな手法は、13C固体NMR法を用いて毛髪内部の構造を詳細に観察することが可能です。これにより、パーマ処理によって引き起こされる髪の構造変化が明らかになり、髪に与える影響を深く理解できるようになりました。特に、毛髪内部のケラチンタンパク質やミクロフィブリルの変化を評価し、より科学的根拠に基づいたパーマ技術の進化が期待されます。
研究の背景
パーマ剤は主に還元剤と酸化剤から構成されており、これらが毛髪のシスチン結合を切断し、形を変え、再結合させることで、特定の形状を保つプロセスが行われます。しかし、このプロセスは毛髪にダメージを与え、強度を低下させることが知られています。このダメージは、従来の研究では毛髪内部構造の評価が十分ではなく、シスチン結合や物理的な特性の評価にとどまっていました。
新しい評価手法の開発
今回の研究では、13C固体NMR法を活用し、チオグリコール酸を使用したパーマ処理を繰返し行った毛髪の内部構造を検証しました。その結果、α-ヘリックス構造の変化やミクロフィブリルの方向性についての詳細なデータが得られました。特に、パーマ処理を行うことでα-ヘリックスの組成量が減少し、ミクロフィブリルの傾きが増加することが確認され、結論として、内部構造の乱れが同時進行していることが明らかになりました。
還元・酸化処理による内部構造の変化
さらに、還元処理とその後の酸化処理を施した毛髪についても調査が行われました。これにより、還元処理ではα-ヘリックスの組成が著しく低下し、酸化処理によってある程度回復することが分かりました。これは、髪の内部構造が単なる物理的変化にとどまらず、動的な変化が生じていることを示唆しています。
今後の展望
研究成果として得られた知見は、今後のパーマ製品の開発や新たなヘアケア製品の創出に寄与することが期待されています。アリミノは、この技術を応用し、髪へのダメージを抑えた製品開発を進める方針です。将来的には、より持続可能で効果的なヘアケアやパーマ技術の実現が見込まれ、業界全体の進化へとつながることでしょう。
掲載誌について
今回の研究成果は、国際的な学術誌『Biophysical Chemistry』2025年3月号に掲載される予定です。この研究は、髪の健康を守るための新たな技術と知見を提供する重要なステップとなるでしょう。
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アリミノ公式サイト
本研究による新しいパーマ技術は、髪の健康を重視する全ての人々にとって、期待される成果をもたらすことでしょう。