キリンとGenerativeXがAIを活用した新しい研究開発モデルを構築
最近、キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)とAI開発を行う株式会社GenerativeX(以下、GenerativeX)が手を組み、研究者の創造性を最大限に引き出す新たな研究開発モデルを導入しました。この取り組みは、AIエージェントを研究活動の中に融合させ、将来的には2026年にキリンの一部の研究部門で運用を開始する予定です。
1. 背景
近年、生成AIの進化により、従来の文献探索や仮説生成といった研究者の高度な思考作業にもAI活用が広がっています。多くの企業がAIを導入する中、業務効率化のツールとしての利用にとどまるケースが見受けられます。特に研究開発の現場では、無数の情報を探索したり、過去の資料を調べること、仮説の整理や知識共有に関わる業務が多く、研究者は思考を何度も中断されがちです。
この「思考の分断」という問題は、研究者が本来集中すべき風味の高い創造的活動に専念することを妨げています。このため、キリンとGenerativeXは、これらの課題を逆手にとった新しいアプローチを考案しました。
2. 新しい研究環境の概要
今回の取り組みでは、AIエージェントが研究者の日常的な活動に組み込まれ、自然な形で研究環境を整えることを目指しています。キリンが具体的な研究構想の設計を行い、GenerativeXが必要なAI技術の提供および実装を行うという役割分担で進められています。すでに一部の研究所で活用を始めており、今後のグループ全体への展開も計画されています。
1) 本研究スタイルの主な特長
- - 研究フローにAIを組み込む設計: 研究者が必要に応じてAIを呼び出すのではなく、研究活動にはじめからAIが常駐します。
- - 思考を妨げないリアルタイムの支援: 仮説形成や情報の探索、さらにはドキュメント化や知見の共有まで、AIが一体となってサポートします。
- - 研究者が主役の設計思想: AIはあくまで研究者の「伴走者」として機能し、創造性を引き出します。
- - 個人から共創知恵へ: 仮説や議論、探索履歴を蓄積し、組織全体での知識利用が促進されます。
2) 開発プロセス
このシステムは、実際の研究者の意見を積極的に取り入れながらアジャイルに開発されています。研究員たちからのフィードバックは、「自らの研究活動に役立つツール」として高く評価されています。また、この取り組みはAIを単なる業務効率化ツールとしてではなく、知的な創造活動に直結した形での活用を目指している点が特筆すべき特徴です。これにより、新たな仮説探求の可能性が開かれ、異なる分野の融合や研究質の向上も見込まれます。
3. 今後の展開
将来的には、研究者それぞれの専門性や研究テーマを把握し、さまざまな機能を充実させながら、研究者同士の連携を強化していく計画です。「AIが研究の空気となる環境」を形成し、研究者が意識することなく自然にAIが活用される環境を整備することを目指しています。
GenerativeXとは
設立からわずか1年で急成長を遂げているGenerativeXは、AIエージェントを利用した業務変革支援に特化したコンサルティングファームです。金融、製薬、製造業など幅広い業界での大手クライアントに対して、高度なサービスを提供しています。また、東京・丸の内に本社を構え、海外にもサンフランシスコやニューヨークに拠点を抱えています。
キリングループのビジョン
キリングループは「KIRIN Digital Vision 2035」で、業務の効率化と新たな価値創造の両方を目指しています。個人の力を結集し、未来を見据えたものづくりを通じて、「食と健康」をテーマにした新しい喜びを広め、豊かな社会の実現に寄与していきます。