サファイアテラが伊藤忠商事に提案した食品業界改革の道筋とは

サファイアテラが伊藤忠商事に提案した改革案

サファイアテラ・キャピタル（以下、サファイアテラと呼びます）は、米国シカゴを拠点に日本株のエンゲージメント投資に特化した運用会社です。2023年からは伊藤忠食品株式会社（以下、伊藤忠食品）の株式に対して積極的に投資しています。これに伴い、サファイアテラは伊藤忠食品の取締役会に対して、親会社である伊藤忠商事株式会社との資本関係を見直し、企業価値を向上させるための重要な提案を行いました。

サファイアテラの現状理解

現在、伊藤忠食品は伊藤忠商事が発行済み株式の52.46％を保有する上場子会社ですが、サファイアテラは同社が持つ食品卸売業の競争力を高く評価します。しかし、現行の株価は同社の本来の企業価値を正確に反映していないとの見解を示しています。その理由は、上場子会社として親会社の影響を強く受け、少数株主との利益相反のリスクが存在するため、と分析されています。

提案内容

サファイアテラは、伊藤忠食品に対して以下の2つの提案を行っています。

1. 親子上場の解消：伊藤忠商事による公開買付・完全子会社化
サファイアテラは、これが最も合理的な解決策であると考えています。この手続きにより、適正な対価を支払うことに合意すれば、少数株主としては非上場化にも肯定的であるとしています。具体的には、一株当たり14,000円（2023年11月13日現在の株価9,300円に対し、50.5％のプレミアム）での評価が妥当と主張します。この評価は、食品業界での競争力や持続的な業績成長が見込めることからも正当化されます。

2. 上場維持の場合の特別配当
もし完全子会社化が実現しない場合、伊藤忠食品は企業価値向上に向けた施策が必要です。具体的には、特別配当の実施を提案します。内容は、一株当たり合計7,000円の特別配当を行うことで、余剰現預金を株主に還元し、ROEが現在の7％台から20％台に改善する可能性があると分析しています。